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居心地の良さの設計

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地震に強い家を建てたい!制振装置(evoltz)セールエンジニアと対談しました。

制振装置evoltz

タマゴグミでは数ある制振装置の中で、evoltzというメーカーの制振装置を採用しています。

このメーカーを選んだ理由はこの下に書きます。

読むと「何と安易なの?」とびっくりするかもしれません。

 

タマゴグミが仕様や装置を選ぶ基準

今回制振装置をevoltzに決めた理由はその装置を推薦している人です。

私もお世話になっている構造塾の佐藤実先生が「いい商品だよ」と言っていて、なおかつevoltzの社員さんたちと何度か話して信頼できると判断したから決めました。

何と安易な・・・と思いますよね。

 

私の知識では、数ある制振装置の中から数点に絞り込むことはできますが、そこから一点に絞り込むことは難しいです。

私よりはるかに構造の知識を持っており、ここ数年お付き合いさせて頂いて信頼できると思った方、会社と商品に誇りをもって働いている方で判断しました。つまり、最後は「人」で判断しています。

 

タマゴグミが使用しているほとんどのものがそうです。

構造材は岐阜県産材で判断したわけでなく倉知製材の倉知社長に会って判断していますし、換気や気密部材は日本住環境の小川さんや歴代の担当者で判断しています。職人さんたちもそうです。

私としてはこの方法が一番良いと考えています。

 

制震ダンパーevoltzの役割

制震ダンパーの役割は地震エネルギーの吸収と揺れの速度を抑えることです。

免震との違いを大ざっばに言えば、免震装置は地震エネルギーを逃がし、制震装置は地震エネルギーを吸収しているという違いがあります。

ということは、制振装置をつけたとしても地震エネルギーは一度は家に伝わっているということです

そこで、大前提として

制振装置をつけるからといって、耐震をおろそかにしていいという訳ではないということです。

耐震等級3を確保して、その上で制振装置をつけるのが基本です。

制震ダンパーをつけないとダメなの?

という疑問に対して、私としてはつけることを推奨しています。それじゃあオプションじゃなくて標準にすればいいと考えるのですが、その場合1棟当たりの価格を最低60万円程度上げなくてはいけません。

タマゴグミの家の耐震性能は等級3を軽く超えています。今後来るであろう大地震に対しても壊れることはないと自負しています。

制振装置は大きな地震の後のことを考えてつける装置だと考えています。

大地震のあと家を無傷に近づけるのか、それとも多少の傷を許容するのか。

また、大地震のあと数年後にもう一度大きな地震が来ると予想するのか。

そのあたりを私たちと一緒に考えて最終決定をしてもらえればいいと思っています。

evoltzのエンジニアと話したかった理由は

今回エボルツのセールスエンジニアさんと話したいと思ったのはある一本の実証動画の内容を確認するためです。

今年の夏に着工するお客様にevoltzの制振装置をお勧めしたところ、次にお会いした時に

「あんなに効果があるのなら、ぜひつけてください。動画見ました。揺れが全くなくなるなんて凄いです。」

私の頭の中には「??????」

揺れがなくなるなんて制振装置をつけたからってあり得ないからです。

evoltz セールスエンジニア小林さんとの対談

 

ここからは対談の内容を簡単にまとめています。実際の対談の様子は最後に動画を貼りましたのでお時間がある方は一度ご覧ください。

 

質問はタマゴグミ井手が行っています。

答えて頂いた方は、evoltz セールスエンジニアの小林さんです。

 

evoltzの効果実証のビデオがお客様に勘違いをさせているようです。

人がのれる実験装置でevoltzの有り無しでの揺れの違いを体験する動画がありますよね。

あのビデオはお客様にエボルツが免震装置に近い働きをするという勘違いを与えているのではありませんか?

evoltzが作成した体感装置の案内ビデオの一部を切り抜いて作った画像です。

小林さん:

確かにそうです。

あれは、evoltzのイメージを伝えるものであって、制振装置の効果そのものを表しているのではなく、自社の製品の性能を表しているものではありません。(動画の最後に注意書きでその内容は出ています)

evoltzの役割

小林さん:

地震が来た時、耐震等級3のような地震に強い建物はあまり揺れない(建物変形しない)のです。

変形しないということは、地震力がいつまでも減らないのです。そうなると、家具を勢いよく飛ばしたりとか、接合部分、例えば梁や柱の接合部や釘などに力がかかってしまって損傷が進むのです。

 

小さな変形しかしない耐震等級3の建物に対しては、小さな変形の状態から効く制振装置を作らなくてはいけないと思い開発したのがevoltzです。

 

小さな変形しかしないということを受けて次の質問をしました。

タマゴグミが建てている、面材で囲まれた耐震等級3の家って震度7でどの程度変形するの?

 

あくまでも参考値ですが、震度7の地震の時2階の揺れ幅が25㎜から30㎜位です。相間変形角で大体100分の1ラジアンです。

 

相間変形角の説明

  • 建物が倒壊する恐れがある揺れ幅が10cm弱です。
  • 筋交いが壊れる揺れ幅は33㎜程度です。
  • 面材が25㎜で傷みます。
  • 内装のプラスターボードは15㎜で壊れます。

 

evoltzの役割はその揺れ幅を半減させることです。

震度7で30㎜の変形が予想されるのであれば、それを半分の15㎜にする。そうすると内装も傷つかないし、構造に大切な面材はまず壊れないので、地震に対する性能が担保されるということです。

※evoltzのみで半減するのではなく、その他の要素も加味したとき半減になると予想しています。

point

制振装置は揺れ幅を軽減させる装置です。ということはそもそもの揺れ幅を小さくさせる耐震は必須であり、強くすればするほど良いということになります。

evoltzを設置した様子です。

 

 

 

evoltzをつけると揺れの体感は本当に減るの?

 

小林さん:

体感は減るはずです。

そもそもevoltzで地震力を軽減しているのでその分が減ってくるのと、地震の共振ポイント(地震の揺れと建物の揺れのタイミング)がずれるので体感でも減っていると感じるはずです。

但し揺れがゼロになるわけではありません。

地震のあった地域でevoltzを採用されていた方に感想を聞いたとき「思った以上に揺れた。」と仰った方もいます。

制振装置は地盤に強固にくっついた家の揺れを軽減する装置です。

地盤にくっついている一階部分は地面とともに揺れるので他と同じように揺れます。

2階部分は制振装置で揺れが吸収されるので揺れを小さく感じるはずです。

地盤の固い地域に制震ダンパーは効果あるの? そもそも固い地盤は柔らかい地盤と違い揺れが増幅されないのであまり揺れないと思いますが。

 

小林さん:

確かに他固い地盤は柔らかい地盤と違って地震の揺れの増幅はありません。しかし地震エネルギーがないわけではありません。制振装置をつけるべきです。

 

 

 

耐震等級7クラスの地震に何回耐えられるの?
今まで日本で震度7は7回起こっています。(震度7という概念ができてから)震度7の地震が2回連続で起こった地域は熊本地震です。北陸の地震は震源地が数か所あり、揺れが長く続いたという特徴があります。

 

evoltzパンフレット切り取り

evoltzが行った実験の状況写真です

 

実験での結果ですので通常の建物よりも2割くらい厳しい結果になっていると思いますが、結果は次のようです。

 

実験は 震度5 震度7 震度5 震度7と交互に力を加えています。

この結果からみると

耐震等級2の壁は2回目の震度7で倒壊レベルまで行っています。

耐震等級3の壁は震度5・震度7と絶え3回目の震度5で損傷しました。

耐震等級3+evoltzは8回の加力に耐えています。

 

 

※ただし、これは壁の一部を抽出して行った実験結果ですので実際はもっと耐えると予想します。

 

 

平屋には効果があるの?
2階建てに対する効果はよくわかりました。それでは地面にくっついている平屋には効果はあるのですか?

 

効果はあります。

平屋は地震に強いというイメージをお持ちですが、建築基準法上の平屋に対する壁量が違います。

 

 

evoltzの配置設計はどうやっているの?
evoltzの1棟に対する必要本数は30坪程度の家で通常6本です。

 

 

メンテナンスについてはどう考えているの?

メンテナンスが必要になるのは2つ。1つはオイル漏れ、もう一つは取り付けビスのゆるみです。

 

必要なビス本数は計算すると1か所あたり2本です。現状取り付けビスは1か所あたり4倍の8本使っています。

なぜ8本かというと、木割れ木痩せが起きる可能性ありますのでそのためです。そして同じ繊維状にビスが配置しないように取り付け位置を少しずらしています。

 

 

オイルダンパーの最大欠点の様に言われているオイル漏れに対してはどう対策していますか?

 

通常車のダンパーの場合、ニトリルゴムを使っています。車はメンテナンスができるので、ゴムはいい素材だと思います。

 

けど、ゴムは動かさないとくっついてしまってオイル漏れの原因になります。

そこでevoltzは人工衛星にも使っている特殊なテフロン素材に近いものを使用しています。

この素材の寿命自体が60年以上とされていいます。

60年の実証は暴露試験(屋外に放置する実験)を行いすでに60年経過しており、劣化がないと証明されています。

 

とはいえ工業製品なので、検品が必要です。

今まで、数知れず出荷してきましたが 今日までの不良品は5本でした。

欠陥率は0.004%程度です。

 

検品方法は、evoltzの製造過程で5回あります。また、抜き打ち検査も行っています。

 

建っている家に後付けは可能ですか?

 

後付けは可能です。ただし壁を6カ所程度壊して内部につけなくてはいけません。

 

また、2000年以前の物件はどうしても壁量が足りないのでまずは耐震補強をお行ってから取り付けるということになります。

 

タマゴグミのこれまでのお客様への対応

計算で出された位置の1階の壁を6カ所、内装を取り外させて頂くことで施工可能です。この工事についてはほぼ原価にて行います。

税込65万円程度かと思います。

 

以上になります。

下にZOOMにて対談をした動画を貼り付けておきます。42分と長い動画になっていますので、ながら聞きをしてもらえるとありがたいです。

 

 

制振装置と免震装置の違いやメリットデメリットについて書いたブログはこちらです。

 

制震ダンパーメーカー evoltz

 

 

 

この記事を書いたのは

株式会社タマゴグミ 一級建築士 井手 徹です。

タマゴグミの詳しいことはこちらをご覧ください

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