COLUMN

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居心地の良さの設計

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耐震等級3と間取りの関係は

タマゴグミでは耐震等級3の家づくりを推進しています。

2019年からは、許容応力度計算を社内で全棟行うことを自社ルールとしました。

それでは耐震等級3の家をつくるにはどうしたらよいでしょうか?

丈夫な家をつくるには:手法編

丈夫な家ってどんなふうに造られているの(手法編)

木造の構造のことを、いまからズラズラっとを並べてみますね。(基礎部分は省いていますし、計算する順番は前後します)

構造グリッドを決める。耐力壁線間を8m以下にする。体力壁量を1.5以上にする。バランスよく体力壁を配置するために、重心と剛芯の偏芯率を計算する。構造柱の直下率を70%以上にする。N値計算をして金物を決める。梁部材の曲げ、せん断、たわみの確認をする。柱のざくつ、基礎へのめり込みの確認をする。

 

その他、細かいことはいっぱいあるのですが、こんな作業をして木造軸組みは決められています。凄いでしょ私たち建築士の能力は。とはいっても、赤文字のところ以外は構造計算ソフトがやってくれるのです。手計算ですると多分一日以上かかります。

木造の法律は案外いい加減

木造住宅の構造の法律は案外いい加減なんです。いい加減は失礼かな、、案外、アバウト。。まあ同じですね。

 

住宅を設計する資格は

まず設計するための資格ですが、木造2階建でしたら100㎡(約30坪)までなら無資格でOK

つまりあなたでも設計してOKなのです。それ以上からやっと国家資格の木造建築士・1/2級建築士の資格が必要となります。ということは、世の中の7割程度の一戸建ては無資格で設計できてしまうのです。びっくりですよね、けどもっと凄いことがあるんです。

 

家を建てるときはほとんどの場合「確認申請書」というものをつくり役所や検査機関にちゃんと法律に沿って安全に設計できているかを審査してもらうのですが、建築士が設計した2階以下の木造住宅で500㎡以下(なんと151坪)は、構造計算の審査を省略しますよ、計算書出してもらっても見ないからね。という法律があるのです。

第六条の四

第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する前二条の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。

  第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物
  認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
  第六条第一項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

解説

まず、特定の条件を満たした建築物は、建築確認の審査において、特定の条文を除いた部分のみが審査される、と規定されている。

1号において、型式認定を受けた場合に審査の省略を受けられる、とされている。

2号において、4号建築物のうち、建築士が設計したものは、審査の省略を受けられる、とされている。

~ウィキペディア引用~

「おいおい、なんやねんそれ。」でしょ。

この法律を「4号特例」というのですが、この法律はあくまでも、計算した結果を審査しませんよ。と言っているだけで構造計算しなくていいよ。とは言っていないのです。これが結構勘違いされていて、そっか~ 計算しなくていいんだ。と思われている設計者もちらほらいるんです。

それとね、法律に規定されている構造計算の内容がこれまた・・・・まあグチッぽくなるので止めておきます。

※2025年 やっと4号特例の縮小(廃止でではありません)が行われます、やっとです。

 

丈夫な家をつくるには:計画編

丈夫な家をつくるために重要なことは

丈夫な家を作るポイントは、ちゃんと構造計算をしてということなんですが、一番のポイントは私は違うところにあると思います。

なぜなら構造計算はあくまでも設計結果が構造的にクリアしているかどうかを調べる事後調査です。駄目なら対策をとってねという指針でしかありません。

 

一番重要なのは構造グリッドを決める。これに尽きます。

木造の設計は間取りからか考えません。(少なくとも私は)特に2階建の場合は1階、2階とも同時に構造グリッドを考え軸組みを決めるところからスタートします。

 

間取りから考えてしまうと、上下の柱や壁が揃わなくなりバランスの悪い建物になってしまいます。また、無駄と思える壁や柱が増えすぎて将来改装するときに大変になります。

構造グリッドは下の図のものです。

間取りはグリッドにあわせてつくる。そうすればバランスがよい丈夫な家が設計できます。

 

こんなことは関係ありません

集成材は糊が怪しいから使っちゃ駄目とか、柱は太くなくちゃ駄目とか、桧はやっぱり強いよとか、筋交いは信用ならないよとか・・・そして、工法は●×工法じゃないと強くないとか、この金物じゃないと弱いとか、制震装置はつけなきゃとか。

それらのことは、バランスよい構造設計に対しては二の次のことです。どんな家が丈夫かは、現地で私の話を聞いていただければなんとなく解ってくると思います。そうです、プロじゃなくても感覚で解るものです。

 

設計を依頼するということ

耐震等級3の地震に強い家に関わらず、冬暖かくて夏涼しい家、居心地が良い家を依頼する場合、あなたは設計者にあなたの家の希望を言葉や文書で伝えましょう。

ご自身で図面を書いてお伝えするのはお勧めできません。

 

住宅を設計する設計者は、間取りと同時にグリッドを考えているからです。

今日は以上です。