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居心地の良さの設計

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べた基礎は布基礎より強い?

べた基礎は地震に強いって本当?

うちはべた基礎だから地震に強いよ。なんていう営業が5年ほど前までは流行っていました。今は、そんなことを言うと笑われてしまうからだれも言わなくなったのですが。

べた基礎と布基礎の違いを知ることで気づいてもらえることがあると思い書きます。

私の手書きの汚い図つきで説明しましょう。

布基礎ってどんな基礎

 

布基礎は、逆Tの字型の基礎です。上の写真はべた基礎ですが、布基礎は立上り部分の下だけにコンクリートがある基礎なんです。

コンクリートや鉄筋の量が減らせるので、経済的と言われています。

私は経済的というのはちょっと疑問を持っていますが。というのも、手間は布基礎のほうがどう考えてもかかるのです。

今後、鉄筋やコンクリートの値上げが続き人件費と比べたときに格段に安くなるということはあるかもしれません。

 

布基礎を図で書くとこんな感じ。

斜線の部分が基礎です。

 

上の図の説明をします。

100の重さのものが二本の柱に伝わり、それが地面に伝わるという図です。

 

100の重さが2つに分かれて50になり、その力が基礎に伝って一マス10の力が地面に流れていることを表しています。

 

基礎の下、圧力球根と書いてありますね。

これは何かというと、基礎から伝わる重さが地面に影響する範囲です。

大体、基礎の幅の1.5倍から2倍程度です。

 

べた基礎を同じように書いてみると

こんな感じになります。

べた基礎は広い面積で重さを受けますので、上記の例で行くと

100の重さが2つに分かれて50づつ、それを基礎の底板(平たい部分)でうけると一マスあたり5となります。

やっぱり、重さを全体で受けるべた基礎のほうがいいじゃない

と、この数値だけ見るとそう思いますよね。

 

けど、地面に影響を与える範囲(圧力球根)はべた基礎のほうがはるかに大きくなります。

多分、4~6倍の差が出ます

布基礎の場合は地中2メートル程度までですが、べた基礎の場合は6メートル程度まで影響を及ぼしますので、その間の地面が強くなくてはいけません。

 

それとべた基礎の場合はそんなに単純じゃないのです。

地中梁も何もなくベタっと打っただけだと、上記の図のような現象になります。

 

両側に重さがかかっても、中央部分まで力が伝わらないとこんなふうになって、破壊の危険性もあります。

「いやいや、鉄筋が入っているし、コンクリートだしこんなことにはならないだろう。」と思いますよね。

そうですね、住宅ではこのようになるのは相当大きな地震が来た時でしょう。けど、なり得る可能性はあります。

それと、あなたもこんな建物に入ったことがあるかもしれませんよ。

大きなホームセンターやスーパーで、なんか床がうねっているなとか、勝手にカートが動き出したりとか経験ありませんか? それが、この現象です。

 

家は岩盤の上とか、丈夫な杭を打たない限り、建てたら大なり小なり必ず沈みます。ですので上記のような現象が起こる可能性はあるのです。

 

布基礎とべた基礎の大切なこと

布基礎の場合は、地表3m程度までの地盤がムチャクチャ大切。

力は深くまでいきませんが、強い力が地表面に伝わりますのでその間の地盤が緩かったら大きく沈む可能性があるのです。

 

べた基礎は地盤の変化が少ないことが大切。

べた基礎は、布基礎のように地盤に大きく影響を受けることは小さいのですが深くまで力が及ぶので、地盤のバランスが大切。土地の調査で、6m下までの間がどこの場所も同じような状況という必要があります。

それともう一つ、耐圧板に家の力が均等にかかること。

そのためにやることは家の重さが耐圧版にきちっとかか

るように基礎の梁を入れることです。(色のついたところに梁が入っています)

 

 

そして両者に大切なことは

構造計算をして、底板や梁の寸法、位置、鉄筋の量を出すこと。

家によって力のかかり方が違います。構造計算することにより、柱一本一本にどんな力がかかり、その力を地盤にスムーズに流す基礎にするには構造計算は必須です。

 

これらをクリアすれば、実はどちらの基礎が強いか弱いかなんてないのです。

どちらを選んでも間違いはありません。

以上です。