COLUMN

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居心地の良さの設計

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設計者が2階リビングを選ぶ基準は?

来年着工のお客様から一本の電話がありました。

「やっぱりリビングが1階の案で考えていきたいです。」

そのお客様には1階リビング案と2階リビング案を提案していました。

 

さて、今回の話題は、リビングは1階か2階どっちがいいの?というお話ですが、

実は一度ブログに書いている内容です。

よって今回はさらに掘り下げた内容にしています。

 

一般的な内容はこちら 2階をリビングにする理由

 

2階リビングの様子

フォーカスするのは窓。

フォーカス。。私には似合わない横文字でしたね。まあそれはいいとして「窓」に焦点を当てるとあなたもリビングは1階か2階かをご自分で判断できるようになると思います。

窓の目的は何でしょうか?

  • 太陽光を取り込む=明るさ
  • 太陽熱を取り込む=自然エネルギー取得
  • 風を取り込む=換気・排熱
  • 景色を見る=位置・見通しが大切
  • 景色を切り取る=位置・大きさが大切
  • 外部空間を取り込む=あとからちょっと補足します。

 

こんなことが考えられます。

そこであなたに考えてほしいのです。

「リビング(居間)の窓に一番期待する機能は何ですか?」

 

設計で重視していた窓の機能は?

タマゴグミが設計で外部空間を取り込むことだったのです。

守られた室内に、自然が感じられる外部空間を取り込んでより豊かなリビングを作り上げるかを一番に考えています。

 

そのために必要なのは

昼間にカーテンをしなくてもいい窓。(できれば夜も)

窓からの景色に違和感がないこと。(良い景色が必要なわけではありません)

外部と内部との中間点がつくれること。(深い庇や軒)

 

これだけの条件をクリアする窓がつくれるかどうかです。

リビングの内部と外部の構成を図にしてみました

図にすると何となく解って頂けると思うので、いつもながらチャッチャと書いた図をお見せします。

 

①はサッシ部分です。出来る限り存在感を消したいといつも考えています。フルオープンサッシなどを使いサッシを感じさせないようにしています。

 

②は外でもない中でもない中間点。この存在が一番重要と考えています。家の中のように感じるけど、夏は暑いし冬は寒い。雨も降り込むし音もします。外とつながっている中の空間があることで広がりを感じられると私は考えています。

 

③は外部空間(お庭)です。この部分があるとさらにのびやかになります。一本でもいいから木があるとなおよいです。お庭が狭い場合は庭のレベルを濡れ縁レベルまで上げることがよくあります。

 

④は目かくし部分です。これに手を抜いてはいけません、通常隣家の壁は裏側ですのであまりきれいなものではありません。

しかし、④の壁が美しく作られていると隣家の裏側は隠され②から③部分が自邸の空間になります。

 

1階リビングと2階リビングの判断は

私はこの距離で判断しています。

赤の部分の距離が隣地境界線より7.5メートル以上であれば、日当たりも十分確保されるので迷いなく1階リビングを提案します。

その根拠を書いたブログがあります。よろしければどうぞ  日影の根拠

 

赤の部分の距離が3メートルを切る場合は2階リビングのみを提案します。3メートル以下でリビングからの眺めをご満足いただけるものが造れるか自信がないからです。

 

しかし、3メートル以上ある場合はその土地によってですが、1階リビングの提案もします。

隣地に2階建てがあったとしたら冬は日影になりますので、吹き抜け等から光を確保する必要はあります。

コンパクトなお庭

写真は日当たりが良い場所ですが、赤部分が3.1mで造った中間点とお庭の写真です。

これ以外の事例でもこのサイズでお庭を造らせて頂いたケースがいくつもあります。

南に家があったとしても3メートル以上空いているとなんかもったいないのですね。

 

2階リビングの時の窓の考え方

2階リビングにしたとしても、外部空間を取り込むことはあきらめません。

③の部分はなくなりますが、あとの構成はつくり開放できる窓と、外を感じる中間点は設けています。

図のように、4番を移動させた構成で家を設計します。

 

2階リビングの例

前面に格子戸をつけた例です。

これをつけることで昼間はカーテンを必要としません。

また2階ですので光は十分確保できます。

 

その他で2階リビングを選ぶ理由

実は開けた土地でも2階リビングを選ぶこともあります。

その主な理由として

1階に他の用途を付加するため。

例えば店舗やガレージ・庭園を持った和室など。1階でしかできないことを実現するためにあえて2階にリビングを上げてしまう方法です。

 

住まい手の暮らしぶりでの判断。

個々の個室と庭の関係をつくりたいとき。要はリビングより個室の居心地を上げるためです。これは今後多くなると予想しています。こういう考え方も今後の家づくりの一つですので検討してみてはいかがでしょうか?

あとは、物理的開放感より精神的開放感を望むとき。これは2階リビングに住むとちょっとわかるのですが、2階にいることでなんか広がった感じがするのです。そんな感覚を重視される方は2階リビングを検討すると良いかもしれません。

 

最後に

今まで書いた内容は、タマゴグミで設計させて頂いた経験から来ているものです。私の主観が結構入っていますので、これが絶対とは思わないでください。

要は、家づくりはいろいろ考え方があるということですね。

2階リビングにしたほうがいいか迷ったときはぜひご相談を。

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