東西に長い土地に家を建てる方法
2022年09月20日
10年弱前に、長良地区でコンパクトハウスを建てさせていただきました。3人家族が暮らす23坪の家です。
敷地は、東西に長く南北は6mを切るような寸法です。
方角は写真左が南で、写真右の道路側が北です。
お客さまから「狭いけど、よい家が建ちますか?」との問いかけに「大丈夫ですよ。」と返答させて頂きました。
私がこの土地で気になったのは狭さではありません。将来南の土地がどのように活用されるかです。そこで最初に行ったのは隣地に建つであろう建物の予想です。
この予想は、土地の大きさや法規的なこと、そして地域性を加味しながら作成します。場所や隣地の大きさによって、数種類考えられることもあります。そして私が予想したのは
上の図です。地域柄ひとつの土地としてチョット大きめの家が建ち、車はこんな感じで庭はここに造るだろうなと予想しました。
この予想から出した結論は
居間から南の景色は期待しない。
南からの光は1階はダメだろうけど2階はある程度入ってくるだろう。
風通しは大丈夫だろう。
といったことです。
そしてこんな感じの家にしました。
写真は南側です。南は空き地なのに、1階についてるのは風通し用のもののみです。
反対の北側は
掃出し窓をつけました。そして景色が良い東側を正面として1階 2階とも大きな掃出し窓をつけました。1階には前面の道路を気にせずに窓が開けれるように目隠しを、2階はバルコニーをつけました。
(写真はgooglemapより)
内部はこんな感じです。
居間の上は吹抜けになっています。少し見えるサッシは2階南のサッシです。それでは北を見てみます。
北側は上下に開口があります。階段が少し目隠し代わりになっています。
2階の写真です。東の部屋から撮っています。東と西の部屋に段差を少しつけ、視線をずらすことで広く感じるようにしています。
さて、建ててから10年弱、今の様子を見てみましょう。
お隣が建ちました。
正直に申します。予想を外しています。お隣には2棟の借家が建ちました。そのために予想よりもお隣さんが南によっています。その結果、南の窓からの光は当てにできなくなりました。
ただ、北側よりやさしい光が毎日入りますので昼間から電気を使う必要はありません。
この様に周りの環境は変化します。その変化を予想して計画するのも設計のひとつの仕事です。
この記事を書いたのは
株式会社タマゴグミ 一級建築士・宅建士 井手 徹です。