お金をかけるなら太陽光? 付加断熱? どっちがいいの?
2023年09月09日
実例をもとにブログを書きました
今回は現在計画中のお客様より相談を受け、実際にそのお宅を使って計算した数値です。
プライバシー保護のために場所や家の形はほとんどわからない状態で、ほぼ数値のみをのせています。
お金に余裕があれば、付加断熱をきちっとして太陽光発電を積むのが一番いいのです。
ただ、お金は限られています。今回は限られたお金をどっちに使うのがよいか考えてもらうためのブログです。
あなたは何を重視しますか?
まずここが重要です。
金銭的に元を取りたいのか? それとも快適性をよりアップさせたいのか?
どちらを望むかで決まります。
環境問題もあるのですが、その点はまだ微妙なところがあって太陽光発電は太陽の力で電気を起こすのですが、今のところリサイクルされる数が凄く少なく産業廃棄物となっています。だから環境に良いとは一言では言えないところもあります。
家づくりでの環境を考えるのは我々建てる側と国との責任であなたの責任ではないと私は考えています。ですので、今回重視するのは「お金」もしくは「快適」となります。
お金を重視するのなら一択 太陽光発電
【太陽光・付加断熱いったいいくらなの】
まずここを知らないとためですね。
太陽光発電=4.05Kw 税込み110万円で提供しています。
付加断熱・ネオマフォーム30㎜を外張り 税込み70万円~90万円(家の規模で変わります)の範囲で提供しています。
さて、それではお金を重視するならなぜ太陽光発電なのか。計算結果をお見せします。
上記の計算は、室温・動的負荷計算を行った結果です。
簡単に室温動的負荷計算を説明します。
計画している家の性能(断熱やサッシなど)と、使用する機器。エアコンの台数と位置、そのご家庭の家族構成や生活時間などを入力し、家を計画する地域の過去気象データと掛け合わせて365日 24時間の部屋の温度を予測るものです。
そして、その温度を保つ場合、どの程度のエネルギーを使用するかそのエネルギーをお金に換算するとどの程度の金額になるかを予想するものです。
今まで建てさせて頂いたお宅にヒアリングをすると、大体のこの数値かそれを下回る結果となっています。
上記の表が見にくいかもしれませんので、年間のエネルギー使用料金の総額を書きます。
尚今回は、電気代1Kw27円 売電1Kw10年まで16円 それ以降10円として出しています。また、基本料金は反映していませんし、深夜電気の設定もしていません。
断熱仕様・設備 | エネルギー総額 | うち冷暖房費のみ |
充填断熱 (断熱等級6 UA値0.43) | 176,945円 | 47,363円(26.7%) |
充填+付加断熱 (断熱等級6 UA値0.34) | 173,600円 | 44,018円(26.3%) |
充填断熱+太陽光(UA値0.43+4Kw太陽光) | 89,753円 | 47,363円 |
グラス―ル50㎜程度(断熱等級3 UA値1.32)
平成初期以前の断熱 参考値 |
238,410円 | 108,828円(45.6%) |
※エアコン各階に1台+床下エアコン。 床下エアコンはシーズン中14時間/日 に設定。
これを見れば一目瞭然ですね。お金を節約するのであれば付加断熱より太陽光発電を設置した方がいいのです。
上記の結果には、太陽光発電を利用して昼間にお湯を沸かすエコキュートの設定はしていません。よって、そのようなエコキュートを採用すれば(というか太陽光発電の場合は絶対条件ですね)さらにエネルギーコストを抑えることができます、
日本人は我慢強い民族です
ある、温熱環境を研究している先生の言葉です。これは、設計事務所や工務店が断熱リフォームやリノベーションを推奨するときによく言う「断熱リフォームをすると光熱費が大幅に抑えられて、直ぐ元が取れますよ。」という言葉に危惧をされているからです。昔の断熱が乏しい家を、冬どの部屋も室温20℃に保てる今の家と同じように比較するとそりゃ月の電気代が1万円位は簡単に変わってしまいます。
昔は寒い冬はみんな一部屋に集まりコタツに入っていたのです。暑い夏は、応接間と言われる唯一エアコンがついている部屋にみんな集まっていたのです。
要は、断熱性能が乏しいことを「我慢」という武器で耐え忍んでいたのです。だから断熱リフォームしてもさほど電気代は変わらないという結果になるのです。
ただ、快適性は大幅アップ間違いなしですが。
空調のエネルギー使用は全体エネルギーの4分の1程度
新築をお考えの方、特にこのページをご覧になっている方は断熱気密性能にも結構ご興味があると思います。ということは、あなたが選ぼうとしている工務店は 断熱等級5から6は普通にクリアする断熱性能の家を造っているはずです。
付加断熱や断熱の厚さをアップしたりして、たとえ無暖房住宅を造ったとしても年間の差額は3~4万円程度。
無暖房住宅を見学させて頂いたこともありますが、壁の断熱は30㎝を超え、屋根は60㎝ 家の構造から変わってきますので、多分300万円以上はコストアップとなると予想します。元を引くには少なくとも50年ほどはかかると予想します。
それでも付加断熱をお勧めしたい理由その1 実内温度のばらつき
ここまで、断熱強化や付加断熱をコケおろしてきたのに、本心はお金の余裕があれば付加断熱やさらなる断熱強化をお勧めしたいのです。それは、快適だからです。
下記の図を見てください。1月25日 朝8時の室内の温度の様子です。
まずは、充填断熱のみ
そして、充填断熱に付加断熱を足したもの
たった1度の差ですが、これが快適に大きく作用してきます。
断熱性能が高いと部屋の温度ムラがなくなり、快適になります。
せっかくですからもう一つ、断熱性能が低い家の場合どうなるかというと
凄く温度ムラが出ます。
エアコンをかけても、その部分だけ暖かくて、ちょっと離れるともう寒くなってしまう。という不快な状態になります。また結露も起こりやすいですよね。
それでも付加断熱をお勧めしたい理由その2 保温性
これも快適性に関わる問題です。
下の図を見てください。
まずは充填断熱のみ
ちょっとわかりにくい図ですね。
左側が冬場 右側が夏場の家の室内の平均温度です。どの温度のときが多いかをグラフ化したものです。
それでは、充填断熱+付加断熱の場合は
解りますでしょうか? これも微妙な差ですので解りにくいのですが、充填断熱のみの場合より充填断熱に付加断熱を足した家の方が分布の幅が狭いのです。
つまり、保温効果が高いということになります。
効果として 冬の日におトイレ行くときなどちょっと快適に行けるのです。
ついでに断熱の低い家の場合は
明らかに差が出ますよね。
付加断熱(断熱強化)は快適性をアップさせる効果があるのです。
で、体感上どんだけ違うのかというと、難しいですが言葉にしてみると
冬に充填断熱の家から付加断熱の家に入った場合
「うん?なんか違う。言われてみればちょっと快適かも、」
といった感じです。凄く大きな差を感じるわけではありません。
ついでに断熱性能が低い家からその他の家に入った場合
「ここ天国かよ。全く違うじゃん。もう戻りたくない。」 といった感じです。
※上記には個人差があることをご了承ください。
今回の結論
お金や、脱炭素を考えるのであれば太陽光発電のほうが有利。ただし、将来的な廃棄には今のところ環境に悪い影響あり。
充填断熱や断熱強化を行うと、温度ムラ、保温性能がアップして室内はより快適になる。
そして言いたい事は
世の中は付加断熱の流れになってきています。当然その分予算はアップします。
お金を出すのああなたです。 周りの意見に流されることなくあなた自身が判断してください。
付加断熱なしでも全くかまいません。それでも快適です。そして、居心地は変わらずよいです。
あなたが選んだもの。それが正解なのです。