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居心地の良さの設計

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南の窓にカーテンをしなくてよい方法

今回は設計手法についてです。

せっかく付けた南の大きな窓、明るい家を望んだのに人の目が気になってカーテンを開けられない。そんな家嫌ですね。

そこで、南の窓にカーテンやブラインドを使わなくてもよい方法を書きます。

 

目次:

  • 昼間に南の窓にカーテン?
  • 窓のカーテンレス化1 目かくし壁を上手に使う
  • 窓のカーテンレス化2 格子で明暗差をはっきりと
  • 窓をカーテンレスにする条件
  • ぶっちゃけ話
  • 窓に対する思いは設計者によって違います
  • あなたはどちらですか

 

 

昼間に南の窓にカーテン??

街を歩くと、南に大きな窓がついている家がたくさんありますね。そして・・・

カーテンがしっかりと閉まっていて、さらにはシャッターが閉まっているお宅も。

 

それも、南の前面道路のいわゆる「良い土地(価格が高い土地)」に多いのです。

こう書いている私の家も、実はレースカーテンがいほぼ閉まっています。

そうです、私も失敗した派です。

 

ここで南の窓の利点を整理しておきましょう。

  1. 光をたくさん取り込める。
  2. 冬に太陽の熱をたくさん取り込める。ただし夏場は注意。
  3. 南の庭の景色が楽しめる。(南と限ったことではない)
  4. 南の庭を室内に取り込める。(窓の開け方に工夫必要)

主にこのような効果が望めます。

 

窓のカーテンレス化1 目かくし壁を上手に使う

なぜ南の窓にカーテンやシャッターをしてしまうのでしょうか?

もうお分かりですね。室内を覗かれたくないという心理です。

 

それ防ぐ原理は2つあります。

一つは物理的に室内を見えないようにする方法。 もう一つは、明暗の差を使う方法です。

 

その1として、タマゴグミが、物理的に室内を見えないようにする方法は下の図です。

 

目かくし壁と道路・お庭・部屋の関係を示した図。相変わらず汚い絵

 

目かくし壁の高さは道路面から2メートル弱程度で設定します。

この高さがあれば、道路からは見えなくなります。もし覗けるとしたらバスケット選手の孫明明さんくらいでしょう。

 

しかしその目かくし壁にもデメリットはあります。

その高さの目かくし壁をあまり広くない庭に建てると結構な圧迫感を与えてしまいます。

そこで、お庭のレベルを上げて圧迫感をとります。

 

実例を見てみましょう。

 

外部から見た様子です。

結構離れた位置から写真を撮りましたが、天井のみしか見えません。

そして内部から見ると。

 

 

こんな感じです。

奥行2mもないお庭も、道路よりもレベルを上げて室内に取り込んでいます。

 

チョット注目してほしいのが、軒から垂らしたスダレです。これがあることで今は外から天井も見れなくなっています。

このお宅の写真をもっと見たい方はこちらからどうぞ。

岐阜市鷺山 そとん壁仕上げの木の家の事例

 

似たような事例をもう一つ

 

ちょっと広めのお庭ですが同じ手法を使っています。

内部からは

こんな感じです。

このお宅の写真をもっと見たい方はこちらからどうぞ。

岐阜県瑞穂市 路地がある家

 

次の事例は少し違います。

 

このお宅は、東西に長い土地で南は写真の左側、家が建っているほうです。東向きにお庭を造った事例です。

内部からは、

こんな感じにプライベート空間をつくり、それに面して大きな開口を設けています。

 

カーテンの話からはずれますが、この写真でご理解いただきたいのは周りがごちゃとしていても美しい壁で囲んでしまえば別世界がつくれるということです。

このお宅の写真は・・・すみません。まだアップしていません。

 

お庭が広い場合の事例です。

 

同じような手法を使っています。ただし、ここのお庭のレベルは上げていません。

お庭が十分広いので目かくし壁の圧迫感を感じないからです。

内部からは

こんな感じです。

このお宅の事例はこちらです。

大垣市 街並みを整える家

 

上の事例の場合問題が一つあります。心理的な問題です。

外からはほぼ覗かれないようになっているのですが、お庭が広く開放感があるため気になって、ついついレースのカーテンを閉めてしまいます。

なかなか難しいところですが・・・

 

窓のカーテンレス化2 格子で明暗の差をはっきりと

窓のカーテンレス化のもう一つの方法が、下の図の原理を使う方法です。

 

なんじゃこれ?という絵ですが、一応眼球を書いたつもりです。ちなみに書いた私は一級建築士です。建築士は絵が下手でもなれるようです。

 

人の目は暗いところに行くと、少々の光でも取り入れるために瞳孔が大きく開きます。逆に明るいところに行くと光を絞るために瞳孔が小さくなります。

瞳孔が小さくなった状態で暗いところを見ても、内部のものが判別できないのです。

だから外部から室内は見えにくいのです。

その見えにくいをさらに強める方法。それが格子です。

 

格子戸を利用した事例を見てもらいます。

 

事例1

 

オーソドックスな事例です。

南に広い道路があり車の往来も激しい場所に建つ家です。開閉式の格子戸を外部につけました。

1階はポーチ、2階は縁側となっていますが格子戸を閉めてしまえば全く見えません。

 

2階の様子を内側から見てみましょう。

こんな感じで、室内には光が差し込み、開放的な感じがします。

追伸ですが、なぜかタマゴグミはこのような狭小住宅の事例が多いです。

この手の家を得意としているからでしょうね。

 

このお宅の写真をもっと見てみたい方はこちらからどうぞ。

一宮市 21坪 間口5.1mの土地に建つ狭小住宅

 

もう一つ、ちょっと小さめの格子戸の例です。

外側からの様子です。横格子の扉がすべて空きます。

 

内側からは

このような空間が広がっています。

格子戸を開いた状態は

こんな感じです。

このお宅はさらに光をとるために、プランターの上部分の屋根が一部ありません。

 

格子戸の手法はもう一つあります。

それは、窓の外に直接格子戸を設ける方法です。

 

この事例です。

写真を見てもらうと解るように、外部から内部は全くわかりません。

この格子を開くと

 

こんな感じで内部が見えます。

 

内部から見てみましょう。

 

このように、お庭が十分見えます。

このお宅の写真をもっと見たい方はこちらです。

羽島市 そとん壁とびおソーラーの家

 

南の窓をカーテンレスにする条件

家の予算を決めるときに、外構予算を必ず取っておくことです。

これが条件であり秘訣です。

 

タマゴグミの場合は、植栽を含めて税込み100万円ほどとってもらっています。(家の規模、ご要望により上下します)

 

タマゴグミを始めた当初は、お客様にあまりお金をかけてもらうのは申し訳ないと思い外構予算をとってもらうことを躊躇してました。

しかしそれでは設計者としてはダメなんだと気づき、現在は100%外構の費用を確保してもらっています。

ぶっちゃけ話を

ここでぶっちゃけ話をしてしまいますね。

 

いくら外から室内が見えるからって、通行人は誰も気にしちゃいません。室内でよっぽどオモロイことしていれば別ですが。

 

海外を歩くと、カーテンを閉めていないお宅がいっぱいあります。

性格の差なんでしょうか? 環境の差なんでしょうか?

あんな感じに、日本人もおおらかになれたらいいのでしょうね。

窓に対する思いは設計者によって違います

タマゴグミの窓への思いは外部とのつながりです。

とにかく、外部空間を内部に引き込むことに かたくなにこだわっています。そうすることで居心地の良い家ができると信じているからです。

 

そのために大きな軒や庇をつけたり、格子戸をつけたり目かくし壁をつけたりしています。

 

窓の設計手順はまず、外とのつながりを配慮して窓の配置をする、そしてパッシブ計算にかけてつながりを崩さず、太陽光を最大限取り入れるにはどうしたらよいかを検討する。そんな順番で窓の設計をしています。

 

それとは逆に太陽熱取得をメインに考える設計者は、太陽ありきで窓を設計します。

冬に軒や庇が太陽の光を邪魔しないような位置にまず窓を配置して、その後外とのつながりをどうするかを検討していきます。

あなたはどちらですか?

出来る限りカーテンレスの窓をつくるのは常識として、

 

少々の太陽熱取得を犠牲にしても、居心地の良い空間をつくるための窓を計画するタマゴグミタイプか

少々の外部空間とのつながりは犠牲にしても、太陽熱取得は絶対という環境タイプか

あなたはどちらを選択しますか?

 

どちらを選択しても間違いではありません。ただし、洗濯はあなた自身がしっかりと考えてして下さい。

 

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