施工事例

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20坪台の家

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一宮市 21坪 間口5.1mの土地に建つ狭小住宅

狭い土地でも設計力で何とかなるという家の例です

 

今だから言える設計者の土地に対する感想

半年近く一緒に土地探しを行っていました。そして、ついにお客様から「この土地で行きます!」と報告を受けたときに、「おめでとうございます。良い土地に決められましたね!」と答えたのですが、心の中の声は「ああ、今まで一緒見てきた土地で一番小さい。それと広い道路の真ん前、ああどうしよう。」と叫んでいました。

けど、半面、面白そうとも思いました。

 

今まで、狭小住宅は2桁台は建てさせて頂いています、その集大成のような土地に恵まれたことをちょっと嬉しく感じました。

 

上の写真は、地盤改良工事を行っている状況です。土地の間口は5.1m 大きさは21坪弱。重機は交通量が少ない朝6時に搬入しました。

 

狭小住宅の設計のコツ

まずは、隣地との間隔を決めます。

タマゴグミとしては丈夫で長持ちの家をつくるために、壁のメンテナンスは将来的に出来るように足場が組めて人が入れる状況にします。また、屋根の軒も10㎝でもいいから出すようにします。

それだけで外壁にかかる雨がずいぶん減ります。

 

上記によって家の幅や大きさが決まります。

 

次に、構造計画を行います。

狭小住宅でも耐震等級3を出すためには柱や梁、構造用の壁をどう組み立てるかを最初に考えます。ただ、間取りは同時に考えているのですが間取りを優先させていないのです。

この段階ではボ~~~っと 居間は二階がいいかな、階段はここらへんかな、太陽の光はどうしようかな、給湯器や室外機はどうしようかな、っと漠然と意識しながら柱と梁の位置を決めていきます。

 

そして出来上がった柱や梁(軸組といいます)に、居間とか、お風呂とかを当てはめていきます。

その時気を付けるのは「視線」です。

 

コンパクトな空間を広く感じさせるためには、視線をコントロールする必要があります。北から南まで通す場所を作ったり、上を見上げる場所を作ったり、わざと光の通るもの(障子など)を使って視線を閉じたり、その場所場所の景色を想像しながら間取りをしていきます。

今回のご要望は、家族3人が仲良く暮らせる空間と、1階に広いポーチ、そして奥様の靴工房とご主人の書斎、そして明るい空間で外が感じられることでした。

 

さあ、前置きが長くなりましたが、完成したお宅の写真を見て頂きましょう。

こんな感じで挟まりました。

 

南の窓はカーテンいらず

1階、2階とも目かくし格子をつけることで、カーテンいらずの空間にしていつも外を勘知られるようにしました。

上の写真は2階居間から外を見た写真です。

内部からは外が見えるのですが、昼間外部からは中が見えません。

フルオープンサッシを設け、その先のバルコニーと一体となる空間を作りました。

 

 

チョット引いたところから、居間全体の様子を撮りました。

吹抜というより、ちょっと高い天井といった感じの斜め天井。この空間の大きさに1層分の吹き抜けをつけてしまうと間が抜けたような感じになります。だからこの程度の高さがいいのです。

 

上の方の細長い窓は、天井に光の変化をつけるためにつけています。

 

 

一番最初にもお見せしましたが、バルコニー側から居間を見た様子です。

上部の障子の奥には、ロフトがあります。寝室代わりに使用しています。

 

狭小住宅は間取りの共有がコツ

左の奥には、キッチン、手洗い、お風呂等水回りがあり、最後に小さなバルコニーをつくり洗濯物を干せるようにしています。

水回りの様子です。

キッチンはタマゴグミオリジナルキッチン。キッチンスペースは水回りへの通路、洗面スペースはバルコニーへの通路と脱衣を兼ねています

共有することで限られたスペースを上手に使い分けています。

 

そして奥には小さなバルコニー。季節の良いときは開け放して南から北へ風を通します。

階段だって立派な居場所

階段室です。

ロフトへあがる階段もまともな階段としています。

この階段、下から見上げてもなかなかいいんです。

 

屋根にトップライトをつけていますので、そこからこぼれる光が階段を一つの居場所へと格上げしています。

お子さんが階段に腰掛けながらゲームをする姿をみました。設計者としては嬉しい瞬間です。

 

建具は用途に合わせて開けたり閉めたり

寝室代わりのロフトです。

障子を閉れば一部屋になります。

そして障子を開けると

こんな感じで狭さを感じません。

大人の要望は必須科目

私は子供の居場所を削っても大人の居場所を確保しましょうとお話ししています。

その方が良い子が育つと私は思っているからです。詳しくはこちらに書きました。 子供の居場所について

 

写真は奥様の靴工房です。この部屋の隣にはご主人の書斎があります。

換気とちょっとしたプランターが置けるように北に縁側をつけました。

そして今の様子は

こんな感じで居心地のよさそうな工房になっています。

 

色々なこだわりもあります

 

トイレの床にはタイルを貼りました。お客様にネットで買って頂き貼ったのは私です。私はタイルも貼れる建築士です。

そして洗面にもタイルを。モザイクタイルは私では貼れませんのでプロにお願いしました。

 

 

ポーチの壁と天井は屋久島杉を。昼間なら人目を気にせずバーベキューもできます。

 

22坪ちょっと、間口5mちょっとでも居心地の良い住宅はつくれるのです。

(基本設計:井手徹 一級建築士  実施設計監理:島田悠平 二級建築士)

 

 

 

 

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