施工事例

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20坪台の家

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大垣市 街並みを整える家

 

大垣市墨俣町の街中のご夫婦と男の子3人さんが住む25坪弱のお宅です。

タマゴグミと1年ほどじっくりと時間をかけて土地探しをしました。

この土地が見つかった経緯について。

1年弱の間、大垣市を中心にいろいろな土地を探して検討をしてきました。10ヵ所は健闘したでしょうか。

そして「ここだ!」という土地が見つかりました。
本格的に検討、購入意思を不動産屋さんに出したところ、他の買い付けが出ていてボツになりました。

その時のお客様と私の落ち込みは相当なものです。

しかしそのあと数週間でボツになった土地のすぐ近くに今の土地が出てきました。即調査をして購入を決定。よくよく考えてみると、今の土地はボツになった土地よりもはるかに良い土地です。

土地探しって。こんなものです。実は私もそうでした。もう買う寸前になっていた土地が業者都合で没。落ち込みましたが、そのあとすぐに見つかった今の土地を買いました。今思うと、あの土地じゃなくて今の土地で本当に良かったと思っています。

 

街並みを整える外観デザインにしよう

土地を見に行ったとき、周りには大きめな家が建っており、ちょっとした街並みを感じました。

家々が整然と並ぶ街並みを復活させるとまではいかないものの、せめてこの敷地分だけは街並みを再現したいと思いました。

 

私が考えるに、住宅の外観デザインって街のため道を通行する人のためのことを考え、さらに住む人が満足するものでないといけないと思うのです。

家は個人のものだから、自分さえ満足すればいいというデザインは町を崩し環境を悪くしていくだけだと思っています。 そんなことを書いたブログがあります。 デザインは誰のため

 

そしてこのようなデザインにしました。

 

道路がわに圧迫感を与えないように、2階部分を奥に引っ込めました。

そして、敷地に沿って長く自然の壁が続くように、目かくし壁と外壁の面をあわせて約12mの杉板の壁をつくりました。

 

屋久島杉を使った壁は、通行する人たちの目をホッとさせてくれるはずです。また、年月が経つて変化してく壁は周りの景色になじんでいき圧迫感を消していってくれるはずです。

 

もし、この道を通行されている近所の方が「あの壁いいな」と思って頂き建て替える時に同じようなものを採用してもらえるとしたら、この通りにこのような壁が増えたとしたら、素敵だと思いませんか?

 

 

 

2階部分が奥に引っ込んでいるおかげで、道路側はあまり圧迫感を感じません。

そして

 

 

壁は、南側にも続きます。

 

内部は外を取り込んで広さを感じるように

 

お庭から見た内部です。

左の部分は6畳と大きな物入がついた和室。将来的に1階だけで住めるようになっています。

そして中央は居間。

フルオープンサッシを使って、内部の居間、中間層の深い庇がついた濡れ縁、そしてお庭と一体にしています。

 

南の庇を深くすると、冬の窓からの日射取得率(ηah値 イーターエーエイチ値)が悪くなるのですが、タマゴグミは「いごこちが良い家」をつくることが目的ですので、居心地を優先しています。

 

ただ、せっかく作った南の窓なのに昼間カーテンをしっぱなしというのは避けたいので、庭に目かくし壁を設けています。

 

写真は身長177㎝の私の視線です。座っている人は見えないようにしています。

 

吹抜は光と気配を一体化します

冬の居間の様子です。

上部から光が落ちています。

 

室内から見た居間です。

冬は日差しが中まで差し込んでいます。

ちなみに右のガラリの中には床下エアコンが設置されています。

 

吹抜上部から見た様子です。

開放感があってよいですね。

 

吹抜は、1階と2階の光や風をつなぎ開放的な空間を作り出しています。タマゴグミでの吹抜採用率は50%強となっています。

ただし、吹き抜けにはリスクがあります。

音はだだもれですのでプライバシーを保つために工夫が必要です。

家が一体となるため、冷暖房は家全体を温めたり冷やしたりする必要があります

ですので、タマゴグミでは「吹抜最高!!」なんて能天気にお勧めはしていません。

ご自分の生活スタイルを照らし合わせて検討する必要があります。

 

借りられるものは何でも借りよう

居間の隣の畳の間の写真です。

お隣の景色はしばらくは変化しないだろうと予想して、お隣の木々が見えるように窓を配置しました。

借景というやつです。

敷地調査の時に土地単体だけんでなく、周りをよく見渡し景色を探すようにします。そしてその景色がいつまでなら使えそうか、また、どの方向ならずっと見続けられるかも予想して窓を計画する位置を決めます。

 

西側が良い景色の場合(結構あるのです)がありますが、その時は西日対策を同時に考えて窓の位置を決めます。

窓は、太陽の光を取り入れるだけでなく景色を切り抜く重要な役割をしています。

 

家はぐるぐる回れると なぜか楽しい

 

2階の吹き抜けの周りに通路を配置しています。

この理由は、窓を開け閉めするためと構造的に必要なために入れています。

その副産物として、2階を回遊できるようになっています。

これが何とも楽しいのです。家は回遊できる場所をたくさんとると結構楽しい空間となります。

 

この家の温熱環境は

UA値0.44 HEAT20のGレベルの外皮性能で、室温動的負荷計算を行い年間の光熱費を出してみました。

まあまあ良い結果だと思っています。

 

お引渡し前、雪の降る日が続く数日、床下エアコンのみで部屋を暖めてみました。

大体15℃程度、ちょっと気込めば十分過ごせる程度の室温になりました。

 

その他の写真です。

キッチンからの写真です。

外部が眺められるようになっています。

 

まだ目かくし壁ができる前の時の雪景色。

感じが良いですね。

 

2階の個室から吹き抜けの回廊を見た写真です。

扉横に本棚をつくりました。

 

 

濡れ縁の写真です。こんな場所が居心地の良い家をつくる要素になっています。

 

竣 工 2022年12月

延面積 24.9坪

 

耐震等級3(許容応力度計算による)

HEAT20 G2レベル

基本設計 島田悠平(2級建築士)

実施設計 島田悠平

現場管理 島田悠平

 

最後に

設計者が大笑いしている図。