長持ちする住宅を設計するためには【時間について】
2023年04月30日
タマゴグミの家づくりコンセプトは「居心地がよい家」そのなかに丈夫で長持ちということも入っています。
長持ちというと、柱や梁が腐らず外壁が汚れにくく、室内の仕上が悪くなりにくくとまず考えてしまうと思います。それも大切ですし、やるべきことです。
けど、それと同等に長持ちでは考えなくてはいけないことがあると思います。
今回はそんな内容を書きます。
建築設計はAIに置き換わる確率が高い仕事です
建築設計の仕事は、敷地の大きさや向き、形状場所、予算、人員構成(家族構成)、用途等クライアントの希望や好みをインプットしてそれに合うものをアウトプットする仕事です。ただそれだけです。
いやいや、構造だっり、法規だったり、温熱環境だったりいろいろ考えなくちゃいけないだろう。とお思いになるかもしれません。
実はそれらのことは、今ですらすべてパソコンがやってくれています。
けど、建築設計はデザインセンスが必要だろう。と思いますか?
美しく見えるプロポーションのほとんどにはルールがあります。設計者をたくさん抱えているにもかかわらず、同じようなデザインクオリティーを持っている会社は、ほぼそのルールを持っているはずです。
建築家と言われる凄い感覚をお持ちの方は岐阜で何人いるでしょうか?私が思うに10人もいないと思います。それ以外の人のデザインはAIに置き換わると言ってもいいと思います。
ということは、すでに目の前で設計をしてくれる担当者もすでにAIの一部として考えたほうが良いのかもしれません。
そんな時代に大切なのは
ますあなた自身のことを正確に伝えることだと思います。
そのことはオールAIになっていない今のほうが、重要だと私は感じています。
今回はあなたが建築士に伝えなくてはいけないことの一部である「時間の内容」について書きます。簡単に言えば時間が経つにつれ変化する事柄です。
業者が提案するであろう時間の変化
【今後の気候の変化】
これは建築のプロが提案すべきことです。
主なものは温暖化。残念ながら今後も進むと思います。
そうなると、断熱の強化や夏の日射対策はもちろんのこと、強風対策、大雨対策、日本海側では大雪対策(日本海側の大雪は温暖化が原因です)が必要となります。
【劣化の変化】
使用する材料によって、劣化が変わります。特に屋根や外壁材は大きな影響を及ぼします。
また、軒や屋根形状によっても劣化スピードは変わります。見た目、機能性、価格、劣化速度これらをすべて理解して材料を選ぶ必要があるのです。
解りやすい時間変化
【家族構成の変化】
人は年を取ります、今現在2歳と5歳の子ともでも、6年もすれば二人とも小学生。20年もすれば二人とも家にいないかもしれません。夫婦2人だけの生活。
30年後、親さんの介護で1人家族が増えるかもしれません。
その時あなたはどんな居場所を必要としますか?
【大きさの変化】
身長1メートルもない子供の時から、1m80㎝を超えるような身長になることはよくあることです。また、80歳代になると、腰が曲がり身長が縮んでしまいます。お子様用に経過ウするものは固定であってはいけないのです。
【体力の変化】
今は30歳代。階段を物をもって上がるのも全く問題なし。60歳代になったら二階へ行くのは・・実は全く問題ない場合が多いです。
2階はキツイと思いだすのは80歳前後だと思います。
あがれた段差も上がれない。何かにつかまらないと歩けない。そんな体力の変化もあり得ます。
忘れがちな時間の変化
【立場の変化】
勤め人だったけど、60歳で定年退職。その後は延長で65歳まで働いて、そして完全に退職。
こんな時間の変化もあります。その時あなたの居場所はどこですか?
【財力の変化】
給料が徐々に上がっていく若いころ。役職がつき、平行線。そして60歳を過ぎて下降。資金計画に需要な時間の変化ですね。
【趣味嗜好の変化】
あなたの今の趣味は何ですか?その趣味はいつ始めましたか?そして、ずっとやり続けますか?
あなたはどんな感じの空間が好きですか? それは何歳からですか? その好きは60歳になっても70歳になっても続いていますか?
今だけの嗜好を切り取ったデザインは後悔につながります。
簡単に穴が建伝えなくてはいけない時間の変化の内容を書きました。
けど、本来は設計者や工務店担当があなたからきちっと聞き取る内容なのです。
それが経験や知識の差で、聞き取られず「今の時間」だけ切り取られて家の設計をしてしまった家がどれだけ多いか。
多分AIに設計してもらった方が良い家ができた。という方がこの世の中にはいっぱいいらっしゃると思います。
時間の変化と設計の関係
現在の木造住宅は、普通に作っている限り50年以上持ちます。
時間の変化で、家族や生活、思考がどのように変わっていくかを予想できると、この家は何回間取り変更が必要か、それもいつ必要かが解ってきます。
また、将来の思考の変化を予想することで、今だけを考えた間違ったデザインを未然に防ぐことができます。
自然の力が及ぼす時間の変化で、劣化や自然災害が予想され、私にとって最適な仕上げや材料が見えてきます。
人や環境は時間によって大なり小なり変化するのに、造ったら変化しない家を建てることは矛盾との戦いなのです。
それに対して私たちが出来ることは、
- 長く使える材料と間取り
- 伝統や地域性を考慮したデザイン
- 変化させやす家の構造
位しかないのです。
他にもあなた特有の時間の変化があるかもしれません。
一度考えてみてはいかがでしょうか?