壁は何のためにあるのだろう
2023年01月23日
「壁って何のためにあるの?」と聞かれたらどう答えますか?
そりゃ、風や雨をしのぐため、防犯のためや防火のため、断熱のためだろう。と答えますか
構造に詳しい人は、耐力壁は必要だろうと思いますか?
それじゃあ部屋の中にある壁は、なんで必要なの?
と聞かれたらちょっと考えてしまいませんか?
構造的に必要の場合もありますが、30坪程度の住宅なら、「木造ラーメン」や「トラス工法」という方法で部屋の中に柱や壁が一本も存在しない空間をつくることは可能です。
あっ、ちなみにラーメンってあのズルズルとするラーメンじゃないですよ。柱と梁だけで構成された構造のことです。ドイツ語で額縁のことをラーメンと言うそうで、そこから来ています。
空調的に必要じゃないの? 考えた方もいらっしゃるでしょう。その考えは10年程度前までです。今の住宅の断熱気密性能ははるかに良くなり、各部屋を仕切らなければ暑いし寒いということは減ってきました。
むしろ、仕切りがあると空気が循環せずに温度ムラができてしまうという問題すら出てくる時代です。
やっぱり、居間とか子供部屋とか部屋ごとに仕切るためだろう。
けど、何で部屋ごとに仕切る必要があるの?
プライバシー保護
最後に行きつくのはこれなんですね。「家族のプライバシーを守るため。」
プライバシーとは個人や家庭内の私事・私生活。また、それを他の個人や社会に知られず、干渉を受けない権利。(wikipediaより)
家族のプライバシーについて考えてみましょう。
子供のプライバシー 子供が使う部屋の壁
子供は4歳~6歳くらいから他人の感情を理解し始めます。つまり他人は自分とは違うという認識をし出すのです。それまでは、「私が知っているから、あなたも知っている。」「私がこう思うからあなたもそう思っている」と私とあなたは同じ、と思っているようです。
だから、4歳以下の子供は叱られても何が悪いか理解できず同じことを繰り返すのは仕方がないことなのです。
ということは、幼児期はプライバシーはそもそも必要ないということになります。
彼らに必要な壁は「隠れてみる」とか「閉じこもってみる」という、楽しさや感情の変化のための壁となります。
それでは、小学生に上がるころは他人の感情が解るようになるからプライバシーのための壁が必要になるかというと、これも疑問です。
他人の感情に対しての勉強が足りないからです。
家族は一番小さな単位の社会です。他の人との対応や感情コントロールの方法を教える場所は家庭での試行錯誤が一番と思います。そのためには家庭では子供を閉じ込めてしまってはいけないと私は考えています。
20年前以上は家の性能も悪いこともあってか、個室に仕切ることが多かったです。
そして、子供たちにその部屋を与えることが常識のようになっていました。
親たちはそれを「子供のため」と思ってやってきたはずです。
けど、冷静に考えると親のためでもあったような気がします。
子供部屋という壁をつくることでその中に子供が入り込めば安心していたと思うのです。壁があることで、教育の機会が減っていたのではないかと私は思います。
壁はお子さんが必要になったときでいいのじゃないですか
いつも、私はそんな提案をしています。理由は
限られたスペースを広く使ってほしい。ということと、建築が子供の教育の場を奪ってはいけないだろう。と考えているからです。
タマゴグミとして活動して10年以上、間仕切りの依頼が年数件あります。依頼があると大体私が伺い間仕切りをしてきます。簡易的なもので時間は1日 費用は5万円程度、ベットや棚等を作り込むと2日程度で費用も10万円程度となります。
御自分たちでDIYで間仕切りを作られるお客様も多々いらっしゃいます。
後から壁を作るという計画をして家をつくっておけばそんな程度で間仕切りができてしまいます。
だからタマゴグミは「間仕切りはあとからでいいんじゃないですか?」と自信を持って言っています。
大人にとっての壁は
これは、しっかりと考えて適材適所につけていくべきと思います。よって深くは書きません。
けど、これだけは言っておきます。
大人だって、閉じこもりたいことがあるのです。誰にも邪魔されず過ごしたい時間があるのです。
なぜ大人部屋より子供部屋を優先するの?
大人が先じゃないかなと私はつくづく思っています。