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施工現場の様子

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建前でわかることがたくさんあります

今日は大垣市林町で建前でした。

写真は2階の様子です。

この土地の南はお隣さんが建っていますので、視線をずらす意味もあり南東角を開放しています。

JR東海道本線も見えていい感じになるかと思います。

構造的な理想を言うと角には壁をつくりたいのですが居心地の良い空間にするためには、角を開けるのが良いと判断しました。当然、構造計算で安全を確認しています。

 

さて、建前は素っ裸の家が見れるチャンスでもあります。強いところ、弱いところ色々見えます。

どんなことが見えるか紹介しましょう。

 

建前1日前、足場組の様子です

10mの養生シートで材料を保護しています。冬のこの時期は少ないですが、夏前後は雨の日や風が強い日が多く建前が延びることがあります。

それでも材料をぬらさないようにするにはこの程度の養生が必要となります。

 

タマゴグミでまだできていないのが、足場の下の養生。

ブルーシートで一度やってみたことがあるのですが、ブルーシートがボロボロになり汚れてしまったことがあります。もうちょっと工夫しなくてはと思っています。

 

通し柱は金物で

タマゴグミは金物工法の家ではありませんが、通し柱だけは金物を使っています。

通常、柱に梁を取り付ける時に柱をかなり掘ります。(これを断面欠損といいます。詳しく知りたい方は「通し柱 断面欠損」で調べると色々出てきます。)それが嫌だから、この部分だけは金物を使い通し柱をあまり傷つけないようにしています

 

面材はモイスを使用

家の外壁に貼る面材はモイスを使用しています。写真でいう白い板です。

10年以上前は合板、その後ダイライトを使用していました。そして今はモイスです。

 

モイスを利用している一番の理由は水に強いことです。

タマゴグミは雨もりにムチャクチャ神経質です。だから軒をしっかり出して外壁にあまり雨が当たらないようにしています。それでも、もし水が中に入ったらと思うと、この選択がベストと思い利用しています。

 

その他では火に強いこと。 オマケで、透湿性能がよくて、壁内の湿度を逃がしてくれます。

しかしこの材料 欠点もあります。

まずは価格。結構高い材料です。そして大工さんなかせの材料です。鉱物でできているので凄く重いのです。

モイスTM

 

構造材は倉知さんちの性能表示材

構造材は岐阜県産材の性能表示材です。

性能表示材とは木の一本一本の含水率(水分の量)やヤング係数(材料の固さ)を検査して表示されている材料です。写真のSD15というのが含水率 E70というのがヤング係数です。

 

なおかつ倉知製材所のみから材料を入れています。

何で倉知製材所かというと、私が信頼している倉知さんが作っている材料だからです。倉知製材所

 

熱の脱出や侵入をちょっとでも防ぐ

木と木をしっかりとつなぐボルト。

けどボルトは熱にとってはユルユルの存在です。外の寒さ暑さをいとも簡単に伝えます。そして厄介なのが結露を起こすのです。だから、こんなところもウレタンスプレーをして断熱をしています。

 

また、最近はこんなところにもウレタンスプレーをしています。

土台とコンクリートの間のちょっとしたコンクリート部分です。 コンクリートも熱に対しては弱く、直ぐに外の暑さ寒さを室内に持ち込んでしまいます。

 

本当は、基礎の外にも断熱をすると効果が高くてさらにはUA値(断熱の性能値)もよくなるのはわかっていますが、私はシロアリが怖くてできません。薬剤入りの断熱材を使おうとシロアリは侵入してきます。

 

シロアリに対する最大の防御は目視で蟻道(シロアリが土で作る通り道)を見つけることしかないと私は思っています。

温熱をよくするのと、シロアリのリスクを天秤にかけたとき、タマゴグミはシロアリのリスクを減らそうと、基礎の内側だけ断熱にしていますし、多分今後もその方針は変わりません。

 

シロアリの対策は

先度述べた通り、目視による点検が一番ですが薬剤散布もしています。

使用しているのは「ホウ酸」です。写真は私がホウ酸を柱などに塗布しているところです。毎度のごとく汚い服装です。

 

ホウ酸の毒性は塩と同じくらいという極めて低く、人間は腎臓で十分排出できるものですが腎臓を持たないシロアリにとっては毒なのです。また、ホウ酸は揮発性のものではないので効き目は半永久的。 といいながら、100%大丈夫ではありませんので、シロアリには点検が一番なのです。

 

屋根断熱はフェノバフォーム だけど悩ましい

タマゴグミは、2階の部屋の天井は屋根の形状のままです。そうすることにより建物の高さを抑えながらも圧迫感がない室内空間を造っています。また、天井の仕上もないので、空間の質を保ちながらコストを落とすこともできています。

 

そのために屋根での断熱を採用しています。

図面のように結構断熱性能が良いフェノバフォーム6㎝を2枚重ねて入れています。

断熱の間にある木は垂木という材料を止めるために赤矢印の受け木材を入れています。

せっかくいい断熱材を使っているのですがこの部分だけ断熱が欠損してしまいます。

 

断熱材を敷いてから、受けの木材を入れる方法もあるのですが屋根は風で結構力を受ける部材、きちっと止めないと吹っ飛んでしまう恐れもあります。また、内部からもう一度断熱を貼る方法もありますが、コストアップとヒノキ合板の意味もなくなります。

建築はリスクとジレンマの戦いです。

 

建て方ではまだまだ分かることがいっぱいあるのですが、今回はここまでとします。