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資金計画

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家の資産価値を住宅ローンから考えてみる

日本の家の資産価値は

残念なことを言います。

日本の家の資産価値は建てたらがた落ちです。どんないい家を建ててもです。

家を買って価格が上がるのは、東京や大阪、名古屋などの都心部等です。つまり立地に価値があるのです。またプレミアがつくのも家の構造や性能・デザインではなく、だれが住んだ家かです。

 

下の写真は、私の知り合いの家です。

シアトルに家を買ったよということで、見てきました。

一枚では映らない大きさです。後ろに見える木々の部分もすべてこのお宅の庭です。

中古住宅で、価格は日本円で1億円ちょっと。さぞかしお金持ちの方かと思いますよね。

ご主人はボーイングにお勤めですが、年収は800万円ほどと聞きました。

 

なぜこの物件が買えたかというと、以前住んでいた家が買ったときより高く売れたこと、ローンが通ったから。

そして、一番大きな理由はこの家の価格は下がることがないから。

日本の住宅ローンはク○です。(マルにはソが入ります)

日本の住宅ローンは世界の中では凄く金利が低いローンなのです。そして審査もゆるいローンでもあります。

さすが日本、やっぱりいいじゃないか。

けど、このローン 家の価値なんてどうだっていいんです。(ここまで言うと銀行さんに怒られるな)

 

※銀行の名誉のために付け加えます。ローンを借りる時、土地の査定と物件(建物)の査定はしっかりされています。土地や物件の価値にあわせてローン金額は決められています。

ただ、それよりしっかり見られているのが個人情報で、その人の素性でローン金額は大きく変わりますが・・・

リコースローンとノンリコースローン

日本のローンはリコースローンです。アメリカ・ヨーロッパのローンの大半はノンリコースローンです。私はこのことが家の価値に凄く関係していると考えています。

横文字だと解りにくいですね。

リコースローンを日本語にすると「遡及される融資」ノンリコースローンは「遡及されない融資」です。

じゃあ遡及(そきゅう)とはどういう意味かというと「過去にさかのぼって言及すること。」

これをもっとわかりやすくすると「何があっても最初の約束は守ってもらいますよ。チャラにはしませんぜ!」ということです。

 

日本のローンは、遡及される融資、もし途中でローンが払えなくなって家を手放したとしても残っているローンは全額キッチリと払ってもらいますよ、というローンなのです。

 

それに比べ、アメリカやヨーロッパのローンは遡及されない融資、もし途中でローンが払えなくなったら家を手放せばチャラ、その後の責任はありません。

 

ここから容易に予想できることは、

日本の場合、借りる人の将来に貸すローンであって、家は重視していないのではないかという予想です。

アメリカやヨーロッパの場合は、その家に貸すローンであって、家の価値が落ちたら成り立たないのです。

その代わりノンリコースローンは審査が厳しくさらには金利も高いのです。

 

ローンの違いで起きていること

シアトルの知り合の車に乗せてもらって郊外をドライブしているときに、知り合いが指をさして「あの区域が今街で問題になっていて、事業者が訴えられているんだよ。」と言いました。

その指さす方向をみたら、日本ではよく見る、四角く仕切られた土地に同じ家が並んだ家の集合体。

その家の集合体が街の品位を落とし、価値を下げる恐れがあるから排除しようとしているのです。

 

価値を下げないように、下のような風景を守るために住民が努力しているのです。

 

 

また、造っているものもそうです。

これは2010年の写真です。帽子をかぶっているのが大工さんです。

現場汚いですね。雨も入り放題。だけど、赤丸のところを見てください。配管が貫通しているところにちゃんとウレタンスプレーをしているのです。

壁の白いのは断熱材です。この階はコンクリート造ですが、コンクリートの内外とも断熱材の型枠を使っています。

そして

当たり前のように樹脂サッシ それも性能がきちっと書かれたものを使用しています。これが12年前です。

実はこの7年前の2003年にもシアトルに行きましたが、その時にすでに樹脂サッシが標準でした。

日本では最近やっと標準化されてきたものが20年以上前には常識でした。

 

日本はどうでしょう。

 

私はなぜアメリカの住宅が、買ったときよりも高く売れるのかがこのローンの違いを知るまで解りませんでした。

多分、国民性の違いなんだ、とかゲート付きの家だからなんだとか、広大な敷地だからなとか適当なことを考えていました。

これらは全く違って、本当の理由は住宅ローンが家の価値そのものにお金を貸していたからです。

日本の住宅ローンは変われるのか?

投資物件に対してノンリコースローンは適用されることがあるようです。住宅ローンでは私の知る限りありません。そして今後も難しいと思います。

 

というのも、ノンリコースローンにすると金利が大幅に上がります。そして審査も厳しくなります。住宅業界が拒否するでしょう。

 

 

なんか愚痴のようなブログになってしまいましたね。(というか愚痴ですね)

私があなたにお伝えしたいことは

「日本の住宅価値は場所がすごく良いところでない限り、いくら良い家だろうががた落ちする」ということです。

この事実を知って、あなたが家を建てるとしたら、どんな考えで建てるか考えて頂きたいと思います。