設計のかなめ 駐車スペース その1
2023年08月07日
岐阜は ほんの一部の街中以外は車がなくてはどこも行けません。一家に一台どころじゃなく一人一台は当たり前、場合によっては家族の人数より車のほうが多いこともあります。
家の設計は家本体からではありません。まずは車をどこに置くかからはじめます。その方法や具体例はその2で書きますので、まずはいつも受ける質問や注意点を書きます。
駐車スペースに関してよくうける質問
- 車を2台置きたいけれど、土地の大きさはどれだけ必要なの
- 常駐する台数です。来客時の台数は含みません。
家は4人家族が住む2階建て 広くはないけど出たくなる庭付きの家を計画します。
私の経験上、2台の車を置くのであれば40坪強の敷地、3台なら50坪が理想です。
30坪ちょっとの土地で、1階リビングの4人家族の家で車2台置けるようにすることは無理ではないです。ただ、いろいろ制約が出たり「ほほぅ」と唸ってしまうような変わった方法を取ったりしなくてはいけません。
- 車を置くのにどれだけのスペースが必要なの?
- 通常は巾2.5m 長さ5mです。
ただし、最近の車は大きくなってきましたね。巾1.8mを超す車も多くあります。
理想の寸法は幅2.8m 長さ6mでしょう。
逆に軽乗用車が大きく快適になってきたおかげでメインの車は経乗用車にするという方もいらっしゃいます。2023年現在で軽乗用車の規格は巾1.48m以下 長さ3.4m以下 高さ2m以下と決まっています。
軽乗用車の駐車スペースは巾2.3m 長さ4mほどを確保したいですね。
縦列駐車(道路と平行に車を置く)場合ですが、その場合の理想寸法は幅7.5m 奥行は2.5mです。慣れれば5m程度の幅で軽乗用車なら十分停められますが・・
- 屋根付き車庫はあとからがいいの?それとも一緒がいいの?
- これは何とも言えませんが、理想は家と一緒に計画することです。
統一したデザインということもありますが、屋根付き車庫のある家にする場合は間取りから変わることがあるからです。
但し、通常あとから建てるアルミカーポートより50万円以上金額アップになると思います。
- 前の道路が狭い場合駐車スペースはどうなるの?
- 厄介な問題なのです。前提として前面道路の交通量が少なく目いっぱい使えるとして、
6m以上の前面道路なら問題ないと思われます。
簡単な目安を書いておきます。一つの数値を覚えてください。それは「7」です。
前面が4m道路の場合駐車スペースの幅は3mは必要です。前面道路3mの場合は4mと覚えておけばいいでしょう。
前面道路4mの道はたくさんあります。その場合2台車を置こうとすると理想は6mの幅が必要となります。
- (番外編)タイヤの下だけコンクリートを打つのはコストダウンになりますか?
- コストダウンにはなりますが、微々たるものです。コンクリートが減る分、型枠(コンクリートをとめる木の枠)代金が発生します。また、将来的に「やっぱり全面コンクリートがよかった」と思うはずです。 全面コンクリートにしたほうが満足度は高いかと思います。
正直なところ、私としてはコンクリート舗装は嫌いです。タイヤののるところだけコンクリートやコンクリート平板にしてその他を芝などを植えると感じがよくなるのですが、価格は高くなります。
どの土地が得でしょうか?(駐車場演習問題)
駐車をするという観点から考えて、どの土地が一番お得か考えてみましょう。
公道幅は7m 私道(位置指定道路)幅は5m。
因みに公道は市や県が管理してくれる道。誰が通ってもよい道です。
私道は、ここの土地のための道。管理は4軒で行わなくてはいけません。
車をとめるということだけ考えて、あなたならどの土地を選びますか?
ヒントの図を出しましょう。
もうこれでお解りですね。
多分このような土地は価格差がつきます。通常はAが高く BとCは同じ値段。Dは広い分高いのですが、坪単価はよりも安くなり広いのにお得感が出た金額となっているはずです。
前記土地のメリットとリスクを考えてみる
水色に塗られた部分は駐車スペースとして使える場所です。紫色は デッドスペースです。
Aは設計の自由度が増す土地です。
駐車スペースの選択肢が多く設計しやすい土地となっています。公道の交通量が少なければ直接公道からアプローチしてもいいですよね。
Aのリスクは、公道の交通量が多いと騒音や振動の問題が出てきます。また、Aの場合公道に面した部分もデザインに気が抜けないので、家のコストが上がりそうな気がします。
また、たとえ私道を通らないとしても私道の管理責任は他の方と同じように持たなくてはいけません。
Bはねらい目の土地です。
私道に面した部分全てが駐車スペースとして使えます。今回、図の下が南としたら日あたりにも問題がありません。
リスクは、奥行きが足らない場合、あまりいい庭が作れません。最低でも15mの奥行が欲しいと思います。これは土地Cも同じです。
Cは考慮必要な土地です。
車を転回するスペースがないのです。車を頭から突っ込むとバックをして向きを変える必要があります。図のように、D側の土地5m分の道路を転回に使いますのでその分駐車スペースが減るのです。
BとCを比べたら通常2台分、少なくとも1台分は駐車スペースが減ります。
このことが解っていれば、価格交渉も可能となります。
Bよりも1台駐車ペースが減るけどと交渉して少し安く成ればラッキーな土地です。
Dは約15㎡分土地が減ります
Dの場合、転回する場所を敷地内でとる必要があります。よって3m×15m分、転回の場所として確保する必要があります。
多分この土地の場合は他の土地よりも坪単価が下がっているはずです。
その下がっている分で15㎡カバーできれば問題ありません。むしろその15㎡を上手に使えばお得になる土地です。
CやDの土地の場合、毎回バックで出ていくから大丈夫と仰る方もいますが、正直なところ毎日となると大変です。
さて、次回はもうちょっと設計に入り込んで駐車スペースの話をします。