家の設計の仕方 土地読み取り編
2023年02月25日
本題の前に、ちゃんと仕事をしていますよの証拠です。
羽島の再生モデルは外構の工事に入りました。3月末から私が土日にここに常駐しようと思っています。
林町の家は大工さんの工事が大詰めになってきました。一部しか写真を写していないのは、作りかけが多いから。
そして垂井では地盤改良工事が始まりました。
さて本題に入ります。住宅設計の最初は何をしているの
住宅設計の最初は何をしているの?
住宅の設計をするとき、最初にやることは土地をよく見て、その土地の特徴を捉えることです。
家は、土地が決まってなければ設計は不可能です。それは、同じ人が一人としていないように、同じ土地なんて一つもないからです。
家にあわせて土地を選ぶとたまに聞きますが、私はなんで???と頭にはてなマークがたくさん浮かびます。
どんな土地にもあう家。そりゃもう神の領域の凄い設計なんだと思っています。
その土地にどんな影が落ちるんだろう
まずやることは下の図です。
周りの建物がその土地にどんな日影を落とすのか調査をします。
調査は 冬至と春分秋分の時期で、地盤面の高さ、1階床の高さ、2階窓の高さにどんな影ができるのかを調べます。
これをやることで、どの位置に建物を持ってくるべきかが見えてきます。
上の図の場合、冬至でもある程度逃げれば室内に光は取り込めることが解りました。(赤線です)
建物がそれ以上南にあれば、建物には日が十分入ることが解ります。
これについてちょっと詳しく書いたページがあります。ご興味のある方はどうぞ。 日影について
こんな設計はしないでね
上の図を見てもらうと北側に余裕があることが解ります。もっと北側に家を持っていけば、明るいお庭が取れるかもしれません。けどあえて計画しません。理由はこの土地の北側にすでに家が建っていたからです。
後から入っていくものとして、先に住んでいる方への配慮は必須です。それが良い街をつくり、自分の土地の価値を上げることにつながるからです。だから下の図のような家はつくらないでください。
せめて片流れじゃなくて切妻で屋根の高さを落とすだけでもやるべきと私は思っています。
これは、住まい手が悪いのではなく、設計者がダメなんだとつくづく思っています。
太陽光パネル一杯積んでエネルギーゼロにしても、配慮ゼロならその建物の価値はゼロです。
車の位置を決める
次にやることは車をどこにとめるのかを決めます。
私たち住宅建築士は年に設計を何十物件とやっていますので、建物配置と車の配置は同時にやりますが、それでも先に考えているのは車の位置です。
今回は、以前から建っている北側の家に配慮して、北を少し開けています。
それを利用してまずそこに1台分のスペースをつくりました。
そしてもう一台は玄関アプローチに近い東側に配置しました。
もしかしたら・・・
近い将来 住宅に駐車スペースはいらなくなってしまうかもしれませんね。車が自動運転となり、カーシェアリングが当たり前になったら家にはちょっとした「車寄せ」があればよくなるかもしれません。
景色をどこから取り込むかを決める
これは室内の居場所を決めるのに重要な内容です。
土地に出向き、景色を探します。例えばこんな感じのものです。
この土地の西側にこのような景色が広がっています。
ただ、今回の事例の景色を家取り込むにはいくつかの障害があります。
まずは西側であること。
夏の西日は要注意です。小さな窓でも室内温度を相当上げてしまいます。
景色を取り込みながら西日を防ぐ方法を考えなくてはいけません。
そしてもう一つ、隣の土地には必ず建物が建つこと。
隣の土地の形状や大きさ、道路の方向から、隣地に建つであろう住宅を出来る限り想像します。
それによって、景色はどの程度ふさがれてどの方向からならずっと見られるかを予想します。
もし景色が無かったら?
実はよい景色がないケースはいっぱいあります。
その場合は景色を切りとったり、外に自分の景色をつくります。ちょっとややこしい話ですので下の写真で説明します。
この写真は住んで1年目のお宅です。
まず、外部に目かくし壁をつくることにより、下の部分の景色を消しました。そして木壁にすることにより、自分の景色を作っています。
こうすることで、上部で空という景色を取り込み、下部は外の部屋という感じの景色をつくっています。
それでも景色がとり込めないことがあるのでは?
そういう時は自分で景色を作ってしまいます。
これは説明はいりませんね。
こんな感じで、自分で景色をつくってしまいます。
最近、このパターンで中庭のとかが流行っていますが、私はこの手法は最後の手法ととらえています。
まずは、周りをよく見て外部の雄大な景色を取り込むこと。それが設計の仕事だと思っています。
今回は家の設計で最初にやること。土地の読み方について書きました。
参考になれば幸いです。
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