建前と材料
2023年10月17日
一宮市で建前を行いました。
すぐ南にお隣さんがあるという設計力が試されるやりがいがあるお宅です。
今回は建前であまり注目されないところをピックアップしてみました。
性能表示材の見方
細目の数値が解りますでしょうか?
SD15 E110
SD15は含水率を表した数値です。
SDはSurface Drieの略語で表面が仕上げられた乾燥材の意味です。15は含水率が15%という意味です。
含水率を説明するとそのことだけで終わっちゃうのので今日は基準だけ。
この数値は20以下である必要があります。
E110はヤング係数です。数値が大きいほど固い材料です。
E110のEとは・・・なんでEなんだろ?すみませんん。知りません。
110とは材料の固さを表す数値で単位はN/m㎡
これらの数値を計測して表示されているのが性能表示材と言われています。
なぜこの数値が重要かというと、構造計算でこの数値を利用しているからです。
タマゴグミが全棟行っている許容応力度計算は、梁や柱一本一本を計算する方法です。
その時の条件として、杉材のヤング係数は70 ヒノキは90で計算しています。
ということはそれ以下の材料であってはいけないのです。
因みに製材所ではどんなはかり方をしているかというと
含水率は、マイクロ波で測っています。
ヤング係数は
木をパコンと叩いてこの機械で数値を拾っています。
通し柱
写真は通し柱の2階梁の部分です。
通し柱は絶対に必要なものではありません。
建築基準法では
「二階以上の建築物の隅柱又はそれに準ずる柱は通し柱としなければならない。 しかし、柱の接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合は、通し柱としなくても良い。」
とされています。
ということは、隅柱(家の角の柱)であっても、1階と2階の柱が補強してあればOKなのです。
通し柱がたくさんあるから強い家という訳ではないのですね。
それじゃあなぜタマゴグミは通し柱を採用しているかというと、通し柱と梁をくっつける金物が一般的になり(写真の部分です)通し柱の弱点である断面欠損(柱に大きな穴をあけて弱くなってしまう現象)が大幅に減ったからと、通し柱があると施工性が良いからです。
構造用面材はモイスを使用
構造用面材はモイスを使用しています。
理由は耐火性能と湿度を通すこと、そして水に強いことです。
ダイライトでも全くかまいませんが、耐火性能はモイスが一番良いのでモイスを使用しています。
実は一度嫌な経験があります。
10年以上前に私の知り合いの家を設計しました。遠くだったので、地元大工さんが請け負ってくれて施工をしました。
完成間近のある夜中に「いてさん、うちの家が燃えている。」と連絡。
次の日現場に行って唖然としました。
外壁のサイディングはそのままなのに、内部はすべて燃えていました。
火が壁の通気層を勢いよく走り、構造用合板を焼いて内部に火が侵入していたようです。
通気層が火力を強めるものになってしまっていたのです。
その経験上、燃えないものを使う位置は一番外ではなく、構造用面材の位置で使うのが重要と解り、その後ダイライトを使用し最近ではモイスを使用しています。
ちょっとしたことに気を使って
外部に面した金物にウレタンスプレーを施しています。
金物は熱を通しやすいので、熱橋(熱を通す橋の役目)になりやすい部分です。
熱を通してしまうと、冬は内側で夏は外側で結露を起こしてしまいます。
それを少しでも防ぐように断熱ウレタンを吹き付けています。
また、気密を保つ役割にも一役買っています。
建前の時に屋根断熱もやってしまいます
建前の時に屋根の断熱も施工します。
60㎜のウレタン断熱材を2枚重ねて施工しています。こうすることで、施工手間の省力化をしています、、が、建前の時は大変です。
建前の日、家の形になるのが大体お昼まで、屋根の形が見えてくるのが2時ころ。
それから屋根の気密や断熱施工をするので、外から見ているとちっとも進んでいるように見えません。
それと年々断熱材の強化をしていますのでほんの少し工法が変わったりさらに手間が増えたりしています。
こんな感じで建前は行われています。
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