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居心地の良さの設計

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『高性能住宅』の前に。設計者が本音で語る、一番お金をかけてほしい場所

設計者としてのこだわり

こだわりのある設計。と聞くと格好いいのですが、設計者はほとんどエゴの塊(と書くと怒られるので、少なくとも私はということで・・)だと思っています。

 

今回は私の設計についての本音を書いてみます。読んだら呆れられるかもしれませんが。

 

 

性能よりも居心地にお金を使ってほしい

これが私の本音です。

 

ちなみに耐震性能は新築は等級3以外は論外です。これは、常識ですし検討することでもありません。等級3にしたからって価格がドンと上がるわけでもありませんので。

 

また、性能も常識レベルでは必要です。等級6を超えるか超えないかレベルは必須かと思います。

わかりにくいのでちょっと性能について補足します。

 

屋根断熱

断熱等級6仕様 ネオマフォーム180mm

性能のレベル

6月末の土曜日のお昼前に、2025年5月にお渡ししたお宅に伺いました。外気温は30度を越しています。「涼しいですね。エアコン一つでこの程度の涼しさですか?」と伺ったら、「いえ、エアコンは使っていませんよ。」と。

 

午後からは、お留守を任されたお宅へ。

外気温は32度。ずっとエアコンは使っていません。外は蒸し暑いのに、室内は「あれっ?」と思うほど涼しかったです。

二つの家とも断熱等級は5、G1レベルです。もうちょっと頑張れば6になるという程度の性能です。

 

そりゃ、付加断熱をガッツリとして、サッシをトリプルガラスにして、というのが理想です。予算が有り余っているのであればやってもらいたいです。

 

それに、私だって「断熱等級7の家を作っています。」「もうちょっとでG3レベルです。」って言いたいじゃないですか。

 

もうちょっと前に施工した物件の様子も書きます。

 

 タマゴグミの10年前の性能は不満を生むのか?

日曜日の午後1時ころに建ててから10年以上建ったお宅へ行ってきました。お客様から「何不自由なく暮らせていますよ。」と言われました。

 

そして、20年弱前に建てたうちの家。断熱性能は最悪です。屋根の断熱なんて、カネライトフォーム50ミリ一枚ですよ。今のタマゴグミの標準仕様からしたら4分の1程度の断熱です。

2階を主に使っているうちの家内に「断熱補強してやろうか?」と聞いたら「暑いけど大丈夫。」だそう。

いまだエアコンは1階に一つ2階に1つ。

夏の昼間は2階のエアコンは稼働しています。1階はほとんど使っていません。

ちなみに冬は、1階の温水床暖房のみで暖を取り、エアコンは補助的にしか使いません。

 

大きな不満というものはないように感じていますが、アルミサッシ時代の物件は結露ではご迷惑をおかけしているようです。

 

居心地が良い状態とは

居心地にお金を使えと言われても居心地って何のことかわかりませんよね。

 

居心地とは 居るときの 心地 時間軸が関係しているわけではありません。

例えば、玄関を入ってパッと周りを見た一瞬の感情も居心地です。

通常、居る時の心地が良いと長居つまり長く居ることができるようになります。心地よい状態が続くと気分が改善され活量が生まれると思います。

 

タマゴグミで作った居心地の例

まずは、私の家から。

春先から夏過ぎまで、ほとんどの日曜日の夜は夫婦でここで食事をします。

いつもの料理、そしていつものお酒、特別なものは一切ない。

けれど、午後7時過ぎから10時ころまで約3時間、他愛もない会話をしなたら2人で過ごしています。

この3時間を楽しく過ごすために、私は金曜日くらいから「今週は何を話そうか。」なんて考えていることもあります。

 

 

先日、二人で旅行に行ったときグランピング施設を見つけました。

そのとき家内が「うちのほうがいいね。さっと始められてさっと終われる。持っていかなくてもいいしトイレも近い。楽じゃん。」

 

次の写真は、私の家族よりつわものの家族です。

確か11月初めにお伺いした時の様子です。真冬でも外を楽しんでいらっしゃるようです。

 

このお宅にも2メートル70㎝以上の軒をぐるっと作りました。

その空間を第二の居場所として使用しています。

写真は冬のはじめころの様子です。

なんと自家製のこたつを外に出して真冬でも外で佇んでいるそうです。

それだけ居心地が良いということです。

 

上記2例は1階窓からの日射取得は無視しています

η(イータ)AH値**(冬場にどれだけ太陽の熱を室内に取り込めるかを示す数値)**

に特に重要なのは窓からの日射熱なのです。吐き出し窓2枚で電気ストーブ1台分以上の熱量を取り入れられます。

 

この値をよくするには、庇を適度に短くする必要があります。

で、下の写真を見てください。これは、私の家です。

この庇を作ったのは1年前。

パッシブハウス的に言えば大変「残念」な家です。

なんと1階のメインの窓の前に約3メートルの軒。パッシブハウスを作っていらっしゃる方からしたら「信じられない」と言われかねません。

 

室内のエネルギー効率無視事例

北の窓はエネルギーを放出するだけでよいとされていません。

窓と壁の断熱の差は4対1程度。窓は壁の4倍熱を逃がします。南の窓は日射熱を入れる意味がありますが北なんてエネルギーを逃がすお荷物にすぎません。

なのにこの大きさの窓。

北側に面して大きな窓を配置。だって・・・街中で居心地の良い景色を作りたかったから

この窓があることで、北の部屋(食事の間)も居間のような居心地の良い場所になりました。

 

街中住宅を設計するとき、常に考えるのは「どうやってプライバシーを保ちながら外部に視線を抜くのか。」です。そうすることで、ギュッと縮まる感じがする街中イメージを払拭して、のびやかな感じになり 居心地が上がると思っています。

 

居心地の良い状態はあなたしか知らない

今まで事例に出したのは、私の居心地であり、タマゴグミの一部のお客様のです。これが居心地の正解というわけではありません。

これらの空間は、お客様と私共が何度も話し合って決めた居心地の良い場所です。

 

あなたの居心地の良さを私たちが作るのですが、私たちから「これでしょ!」ということは言えません。

それは、

 

 あなたにはあなたの居心地が良い状態があるはずで、それはあなたしかわからないことだからです。

それを一緒に探して、その場所を作りたい。それがタマゴグミの設計です。

 

あなたはもしかしたら小さな場所に閉じこもるのが良いかもしれないし、快適こそ居心地かもしれません。

私と一緒にあなたとあなたの家族の居心地を探って作りませんか。それも予算内で。

 

 

次回は居心地とお金について書きます。

 

 

まずは、私たちが手がけた「居心地の良い家」の事例をもう少し見てみませんか? [施工事例はこちら]

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