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居心地の良さの設計

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岐阜で地震に強い家を造ろう 筋かいで地震に強い家を知る方法

地震に強い家か図面を見て判断できる知恵

今回は、筋かいに注目して図面を見ることで、地震に強い家かどうかをあなたが判断できるようになる知恵を書きます。

三重県での建前の様子です。

この文書の目的

今回の文書は誰のために?

中古住宅や建売住宅を購入される方、自邸のリノベーションをする方に向けて書いています。

当然新築の方にもお役に立つように書きます

内容としては、以前にも書いた内容が多く出てきます。

同じことを違う切り口で書いて、いろいろな方向から理解を深めてもらおうと思っています。

あなた自身で地震に強い家を探す方法はこれだ!(今回は・・)

地震に強い家を探す、特に建売や中古住宅で地震に強い家を探すのは難しいです。

壁倍率・水平構面・許容応力度計算・安全率・・・そんなこと言われても解りませんもんね。

で、どうしたらいいか?

平面図を入手して筋かいの位置を見ることであなた自身で地震に強い家か判断できる方法をお伝えします。

今回は筋かいいに特化した三つの見分け方を書きます。

簡単なものから、チョット面倒くさいものもありますが面白おかしく書きますので最後までお読みください。

筋かいを簡単に知ろう

筋かいは江戸時代末期に日本に伝わったとされていますが、1609年完成した瑞巌寺の本堂には連続する筋かいらしきものが発見されています。

筋かいとは

写真のものがそうですね。

筋交の写真

改築の筋かいの写真です。

写真の左側が片筋かい 右側がたすき掛け筋かいと言います。

建築関係者はシングルの筋かい ダブルの筋かいということが多いです。

また片筋かいは次の写真のように2つに分かれます。

引っ張り筋交い 圧縮筋交いの写真

力が左から右にかかる場合、左の筋交いは引っ張られるようになります。

上の写真を見たとき、気づくことがありませんでしたか?

圧縮筋かいは2.5倍 引張筋かいは1.5倍 そうです、耐える力が違うのです。

※倍率って何という方は下の文書を読んでください。

壁倍率ってなに?

壁倍率は、柱と柱の間が1mの間に、筋かいや面材(合板とか)を貼ってどれだけ壁が力に耐えるかの指標です。

約200kgの力をかけて、変形が120分の1になる状態が1倍壁です。

と言われてもむつかしいですね。数値が大きくなるほど強い壁とご理解ください。

けど、面白いことに建築基準法や品確法では片筋交いは「2倍壁」と決められています。

いやいや、違うじゃん。小さいほうの1.5倍を採用するのが正解じゃないの?と思いますよね。

これには理由があります。片筋交いは2本対で使うのが暗黙のルールだからです。2本で使えば、1.5倍+2.5倍=4倍 それを2で割れば2倍となるわけです。

位置は離れていても構いません。一列の壁の中に1対あればいいのです。

 

現実は?

私はたまに中古住宅ご購入のお手伝いをしています。

するとたまに下のような図面を目にすることがあります。

 

柱の間隔が1メートルであれば

左からの力は200KgX6.5=1300Kgまで耐えられますが、右からの力は200KgX5.5=1100Kgまでしか耐えられません。(耐えらえる=許容する力)

 

筋かいの確かめ方

平面図で見ると、下のような図になります。

確かめ方は 一列に向きの違う三角のマークがいくつづつあるかです。

丸の部分を数えてみると、上向きが2つ、下向きが1つです。

 

正しい数は 

上向きー下向き=0(横方向の通りの場合は右向きー左向き=0

となります。今回は上向きー下向き=1となりおかしいということになります。

 

筋交いの入れ方に問題がある平面図

 

2階の筋かいと柱の位置を見る

下の図を見て下さい。

2階の筋交いのついた柱の下に1階の柱がありません。

そうすると、地震や大風の時に梁にすごい力がかかり青色の線のように梁が変形します。

場合によっては折れてしまうということもあります。

平面図で見ると

左が1階で右が2階の図面ですが、2階の赤丸の下に柱がないことがわかります。

これは、梁上耐力壁といって注意しなくてはいけないおさまりです。

通常は、2階の柱の下に1階の柱をたてる、もしくは2階の筋かいをやめて梁に力をかけないようにする方法をとります。

 

ただし、筋かいをやめる場合は他の壁に筋かいをバランスよく入れて補う必要があります。

そんなに危険か?筋かいの向き違いと梁上耐力壁

筋交いの向きが違う影響でこの家が地震時に簡単に倒れてしまうか?というとそんなことはありません。

梁上耐力壁はやってはいけないことか?

それも違います。梁の必要太さを決めて施工すれば何ら問題はありません。(ただしそのためには許容応力度計算が必要となります。

 

それではなぜこれを重視しているのか?それは意識です。

 

この設計者は地震や風の影響に対してどんな意識で設計をしてくれているのだろう。

というのがこういうところから判断できるということです。

 

お施主さんでプロのような知識を持っている方はほとんどいません。

頼るのは設計者・施工者の知識と良心です。

それを見極めることが安全な家づくりにつながると思います。

 

中古住宅を買われるとき 工務店で図面を書いてもらったとき そんな時に上記のようなことを意識してみるのもいいかもしれません。

 

ご相談 いつでも受け付けています

タマゴグミでは、中古住宅購入時の相談にも乗っています。

遠慮なくご連絡ください。

 

この記事を書いたのは

株式会社タマゴグミ 一級建築士 井手 徹です。

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