土地えらびと地盤と地震の関係
2024年03月08日
大垣近辺や瑞穂市近辺 岐阜市もですがそのあたりで土地を探している方。「そうか、地震に強い土地を選ぶ方法があるんだ。」と期待させてしまった方ごめんなさい。
下の地図を見てください。
まずは大きな地震が来る確立を表した地図です。
黄色の地域なら大丈夫なんだ。ということはありません。参考に能登地方の地図もつけました。本当は大きな地震が来る確立が低い地域だったのです。
次に、表層地盤の様子を表した地図です。
いかに大きく揺れる地域が多いかが一目でわかります。参考までに能登の地図をつけました。
こんなにいい地盤の地域なのに大きな被害が出ています。
もうちょっとビジュアル的にわかりやすいように、ジャパンホームシールドという地盤補償会社さんが提供している地図をのせます。
これを見てもやはりこの地域の地盤はあまりよくないですね。
どこを選んでもリスクが高い土地ばかり
残念ながら今から家を建てる方は100% 震度6強以上の地震にあうのです。逃げようがありません。
よかった~私は岐阜市より30分ほど北に行った山の近くに家を建てるんで。地図から読み取ると30年以内には大きな地震が来ないんだ。
と思った方もいらっしゃるかもしれません。 今年1月、残念なことに能登で大きな地震が起きました。能登地方は大きな地震が来ないと予想されていたところでした。
だからいつどこで大きな地震が起きてもおかしくないのです。
地震の揺れの種類とスピード
地震が発生するとまずはP波(縦波)が伝わり、その後S波(横波)が来ます。
因みにPはプライマリーの略で最初のという意味です。Sはセカンダリーの略で次のという意味です。
P波とS波は時間差があります。P波は時速約2万5000キロメートル S波は時速約1万4500キロメートルで伝わります。ちなみに音速(マッハ)は時速1225キロメートルですので遅いS波でも音速の10倍以上の速さで伝わるのです。人類が作ったものでこのスピードにかなうのは今のところロケットしかありません。
P波は初期微動とも言われて、大きな揺れではありません。そのあとにくるS波が主要動とも言われ力を持っているのです。
明日知ったかぶりができる知恵
P波は縦波 S波は横波と言いました。しかしP波は縦揺れ S波は横揺れではありません。
初期のころ私ですらP波は縦揺れ S波は横揺れと理解していました。(大学の時どれだけ勉強していなかったかがバレますね)
P波は伝わる方向に向かって縦の波 S波は伝わる方向に向かって横の波ということです。
その波の性質上P波は縦揺れ S波は横揺れになることが多いのですが、地盤によっては全く違う揺れをおこします。
なぜ軟弱地盤は地震に弱いのか?
よく私たち業界の人間が豆腐の上に家をのせて「ほら、地震に弱いでしょ。」と自慢げに言っていますが、あれで理解できますか?
ああ、豆腐は柔らかいから家が沈んじゃうんだろうな。
と理解している人がどれだけ多いことか。
問題は、地盤が柔らかいと揺れが増幅されるのです。
イメージ図は下です。
私の簡易の絵でもやっぱりわかりにくいですね。
地盤改良をしたから地震に強い
なんていうことはありません。
地盤改良はその名の通り、「地盤の改良」であって耐震装置ではありません。
それが証拠に、地盤補償は不動沈下には対応しますが、地震には対応していません。
※地震保障や液状化保証がついている地盤保険もありますが、大体300万円ほどの保証金です。
地盤改良を行うと通常は地震には強くなるのは事実ですが、地盤改良の計算は鉛直荷重(上からの重さ)は検討されていますが、地震の時にかかる力の引き抜きや、杭が途中でポキッと折れる座屈を検討されているものは見たことがありません。
よって「地盤改良をしたから地震に強い。」なんていうことは一切いえません。
地震に強い構造
今日は家の話じゃなくて、あくまでも地盤の話ですのでちょっと変わった説明をします。
まずは地震の特徴について考えてみましょう。
- 地震の力は行ったり来たりする振幅の力なので足すとゼロになる。(ゼロに近くなる)
- 地震が起きても家が大きく移動するわけではない。
- 振幅距離(揺れ幅)が長く早くなると建物は壊れやすくなる。
これらから考えると津波や土砂・液状化の被害をのぞけば
- 力を打ち消す装置があれば地震力は限りなくゼロになる。
- 建物を浮かせておけば地震が起きても影響は少なくなる。
- 木造住宅は固い建物にする必要がある。
となります。
となります。。。じゃないよ!
チョットだけ解説を
1の力をゼロにする方法は、スカイツリーや台北101なんかはそうです。
スカイツリーの場合は地震で揺れたときユラユラとしなって、地震と違う周波数で動きます。違う周波で揺れることで、力を打ち消しているのです。 台北101なんかもっとダイレクトで、ビルの中間階にでっかいオモリのようなもの(TMDチューンドマスダンパー)がぶら下がっています。地震が来るとそのダンパーが地震の周波に遅れて揺れるので、お互いに力を打ち消すことになります。
2の建物を浮かせる方法はまさしく免震装置です。大型の建物は大きなゴム(免震装置)をビルと基礎の間に挟んで地震の揺れを建物に伝わらないようにしています。
小型の家の場合は、ローラーがついた台に家をのせて、地震の揺れを家に伝えないようにしています。
そうそう、家の制振装置が出たばかりのころ、台風で家が移動してしまったなんていうことがあったとか無かったとか・・・
3はまさしく耐震ですね。
とにかく家は固くしなくてはダメなのです。昔の家はしなって地震を受け止める力があったんだとか都市伝説のようなことが言われていますが、基本は固くする。それしかありません。
結論
岐阜の美濃地方の場合は、殆どの地域の地盤は悪いです。大きな地震が来た場合にはリスクが高い土地と言えます。
地震にリスクが少ない土地を選ぶとしたら、本巣市・山県市より北、垂井町から西あたりですが、100%安心でもない。
地盤改良をしたから安心 という訳でもない。
地震に対抗するには、地震に強い家づくりしかない。という結論です。
結論が凄く当たり前ですみません。。。