施工事例

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20坪台の家

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一宮市 コマドリハウス【2009年竣工】

20坪の中に詰めた思い

2009年に一宮市で竣工した66.5㎡ 20坪のお宅です。

ご夫婦お二人で住んでいらっしゃいます。

 

1階は水回りと居間、そして押し入れ付きの和室があります。

2階には吹き抜けに面したホールと、部屋一つを設けました。

 

なぜこの事例を今ご紹介するのか?

それは、私がこの家に愛着があるからです。

断熱性能はその当時では高レベルの次世代省エネ基準でしたが、今の物件よりも劣ります。耐震性能は、壁量計算で耐震等級3以上のものを出していますが許容応力度計算をしていません。サッシはアルミサッシです。

ただし、基本的構造や家の考え方は2023年現在造っている家とほぼ同じです。

 

通常事例集といったら、最近の物件を華々しく載せて、「どうだうちの実力!」と出すのが普通でしょう。

しかしタマゴグミとしてはこの物件も自慢の家なのです。そう思わせてくれたのは、住んでいるお客様でした。

 

2階ホール

2階の階段上り口に作ったホール。机を配置し、物置とちょっとした作業台に使ってもらっています。

 

うちの家でまた見学会をしないですか?

今年初めのプチオーナー会(という呑み会)でこの家のご夫婦から頂いた言葉です。

以前このお宅を「住んでいるお宅の見学会」で使わせてもらったことがあります。それをまたやりましょうとお声をかけてもらいました。

 

私は最近こんな考えがありました。

最近の家の高性能化は凄い進歩で、10年以上前の家との差は格段についてしまいました。だから、以前建てた方々に申し訳なくて顔を合わせるのがつらい(と言いながら一緒に呑みに行っているんですけどね・・)と考えていました。

けどその考えは失礼だということを思い知らされました。

 

世の中は進歩します。10年後は今よりも性能の良いものがもっと安く手に入りもっとすごい家になっているかもしれません。もしかしたら3Dプリンターの家が主となり、木造自体が珍しいものになっているかもしれません。

 

けど、一生懸命作った自分の家が一番だと思える家づくりがあるということです。

そんなことを知って頂くためにこの家の作られた取り組みをちょっと紹介します。

2階に唯一ある部屋。生活は1階で完結しており、ほぼ使っていないと仰っていました。

一緒にいろいろチャレンジしました。

出会いは2006年ころだったと思ます。奥様がある建築家の家がきになり、その家と似ているスタイルがタマゴグミだったということでお声をかけてもらいました。

コストを抑えつつ、居心地が良い家を造るのが課題でした。設計はほぼお任せ、そして私が出した答えが20坪の家。大きな吹き抜けとそれに面したホールが特徴で、居間と吹抜、ホールを一体感をもって感じさせるような空間にしたいと思い、通常より20㎝以上階高(1階や2階の高さ)を落とした設計にしました。

 

現在設計させて頂いているお宅は結構低い階高が多いのですが、実はこのお宅がその1棟目なのです。

この当時でも、通常より階高を落とした家をいっぱい見ており間違いないとは思っていたのですが、自分で設計施工するのは初めてで、凄く怖かったのです。

そのために、天井の実物大模型を段ボールでつくり自分で確かめて、さらにはお客様にも確かめてもらった覚えがあります。

 

 

階高を抑えたことで、一体感が増した吹抜。手すりが片方だけの階段。スッキリして階段が一つの居場所になり、コンパクトな家は広がりも感じるのですが、強くはお勧めしません。

 

多分、お客様とともにこういった取り組みを行ったり、いろいろ考え検討した時間があったからこそ「うちが一番」と思い続けられる家になっていると思います。

コンパクトな家に住む工夫

先日、16坪の家に4人家族と猫2匹が住む平屋の家を訪問させて頂きました。

ワンルームで仕切りはありません。16坪と思えぬ伸びやかさがあり、居場所もいっぱいありました。

なぜそんな空間が保てるのか聞いてきました。そのコツは、モノを制限することにありました。

「靴は一人3足まで、だからいいものを買うのです。そして個人のものは押し入れ1帖まで。」

家の中央に4帖の物入があり、一人一人に割り当てられていました。

 

このお宅の物入は、和室に1帖半、玄関に大きなシューズクローゼット、あとは棚が要所要所にあるだけです。

シューズクローゼットは、お二人とも靴集めが趣味でそのために用意しました。

 

 

上記の写真は、作業台をスライドで出せるように工夫したカウンターです。

炊飯器とかモノが入っていますが、このカウンターはモノにあわせて作ったわけではありません。このスペースで最大限のものを作り、その大きさに合うように物を断捨離してもらいました。

 

コンパクトな家に住むためには、捨てる勇気と増やさない覚悟が必要なのです。

 

好きなものを置こう

 

 

写真は数年前の居間の様子です。

こだわりのある椅子や家具。お客様が気に入ったものを置いて頂いています。

テーブルは私が作ったものです。今見ると足がチョット武骨すぎると反省しています。チャンスがあれば作り直したいと思っています。

 

タマゴグミの場合、仕上げに出来る限り特徴のないものを使用しています。

このお宅は、床は杉、壁と天井は土佐和紙貼り、それも一種類だけです。

照明も、特徴のないブラケットやスポットライトを使用しています。

コンパクトになればなるほど、家が出しゃばらない工夫をします。理由は、お客様の個性を生かすためです。

好きなものを置いて頂いたときに、それらの邪魔をしないようにするためです。

 

家を考えるときに、同時に家具や椅子、スタンドタイプの照明などにも興味を持っていただければ小さな家でも豊かな空間になると思います。

決して高いものである必要はありません。IKEAでもよいものがたくさんあります。

 

私は、造らせて頂いた家に伺って、こんな様子を見るのが楽しみです。

 

 

家は大きくなくていいのです。けど、工夫は必要ですが

私は30坪の家に住んでいます。夫婦と猫一匹。子供たちは、10年以上前に独立して家にはいません。

 

現状、2階は家内 1階は私の居場所といった生活になってしまっています。私はこの数か月間2階に上がったことはありません。こんなことを書くのは、自宅に関しては私の設計が良くなかったという恥をさらしていることになるかもしれませんね。けど現実なのです。(夫婦仲が悪いわけではないのでご安心を)

 

このお宅は「ご夫婦2人だからうまくいっているんだろう」と思われるかもしれません。ただ、タマゴグミには22坪で4人家族、16坪で3人家族、23坪で5人家族というお宅もあります。

皆さん、収納(ものを持つこと)や使い方を工夫されています。

 

あなたもいかがですか?コンパクトで居心地が良い住宅。

 

 

お客様がつくった芋版です。ここまで家を気にいって下さるとうれしいです。