岐阜市 間取りの工夫が凄いワンルームの家
このお宅の概要です
岐阜市内、ご両親が住む土地の一部を分筆して建てました。
ご夫婦とお子様3人が暮らすお宅です。
構造材は岐阜県性能表示材
外壁は屋久島杉とガルバリウムの貼わけ
内部にもふんだんに無垢を使った家です。
性能;耐震等級3(許容応力度計算による) UA値0.42(HEAT20 G2) C値0.5
Point
親さんの土地に家を建てる場合は分筆されることをお勧めします。名義が同じでも構いません。
銀行でお金を借りる時に抵当権設定がされます。分筆されていないと全ての土地建物に設定されてしまいます。また、遠い将来の相続に対しても分筆されていた方がもめごとが少なく済みます。
ただ、分筆が不可能な場合もあります。(ちょっとややこしい話ですね)
5人の居場所を自由にした設計
2階建ての家ですが、2階にはまったく間仕切りのない建具(扉)も1本もない空間を作りました。
将来的には3分割できるようにはなっているのですが、現在は見事なまでのオープンです。
タマゴグミで家を建てられる方は、お子様が小さいころは部屋を仕切らず 必要になったら簡易間仕切りをして使うというタイプが多いです。ですので、2階に間仕切りや建具(扉)がない、という例は多々あります。
ただ、今回は1階とも完全につながり、ワンルーム化となっています。
こんな感じです。
この間取りは、ご夫婦が希望されご主人が具体的に絵をかいて見せて頂きました。今回は私がそれにアレンジして設計した家となります。
因みにご主人は公共建築物を設計する建築士、ビル等の大型物件を設計されています。住宅については、分野外なのとご自分の物件で手一杯なので家づくりはタマゴグミに依頼をされました。
つまり今回はご主人と私の共同設計の物件となります。
良い子の育つ間取りってあるの?
急に話が飛ぶような題ですが、読んでいただければと思います。
10年ほど前でしょうか? 良い子が育つ間取りとか、頭のいい子が育つ家とかいうのが流行りましたね。
居間で勉強できるようにするとか、帰ってきた子供がみんなの居るところを通るようにリビング階段にするとかそんな感じではなかったかと思います。
私が考えるに、良い子になるかならないかは、親がどれだけ子供に関わるかにかかっていると思います。今回の間取りは、子供に自然と関わってしまう仕様となっています。
子供部屋について書いたコラムもあります。よろしければどうぞ 子供部屋を考えてみる
裏通りのある間取りは便利です
まずは写真を見てください。
この部屋は1階 みんなの寝室に使っている部屋です。左の引き戸を全部閉めてしまえば一部屋となります。この部屋の左側にはこんな通路があります。
ファミリークローゼットを兼ねた通路です。
両サイドに十分な衣装や小物が置けます。そしてこの奥の右側にはこんな通路があります。
通路には、トイレ、洗面、家事室、そして突き当りにお風呂が続いています。
みんなが寝る部屋からすべての水回りや着替える場所に行くのに一度も居間を通らずに済みます。
日本には 「ハレ」と「ケ」という言葉があります。
ハレとは晴れの日とかに象徴される表の場所、特別という意味です。ケは日常という意味です。
私は家でもハレとケが存在すると思います。
家のハレの場は人が集まる居間、そしてケの場はお風呂とかトイレとか洗面とかの水回り。
今回の間取りは見事にハレの場を通らずケの場をつないでいます。居間は家族は当然のこと、お客様などもいらっしゃいます。また、明るい場所=外から丸見えの場所です。
そこを通らず水回りやクローゼットに行けるのは、非常に気楽な間取りと言えます。
ちなみにこのプランを考えられたのはご主人です。
外壁に木を多用したわけ
最初にも見てもらった外観です。
外壁と目かくし壁、上裏(軒の下側)玄関階段に屋久島杉を使っています。
木を外に使うとすぐに悪くなってしまうのでは?と思わるかもしれません。
けど、木の外壁は昔から使われてきたものです。下の写真は、京都府伊根町の風景です。
過酷な条件で木の外壁が活躍しています。
もし今後田舎の町を歩くときちょっと気にしてみてください。案外昔の家で木の外壁が多いことに気づくはずです。
けど、タマゴグミは木の外壁を丈夫だからという意味では使っていません。
年齢を重ねていける材料だからです。
サイディングやクロスなど、貼った時が一番きれいな材料は将来メンテナンスするときに部分補修を行うとどうしても目立ってしまい格好悪いです。これらの材料は全面補修が基本となります。
木の外壁や木の床など年月が経つほど味が出る材料は部分補修をしても、しばらくしたらなじんでしまいます。ということは、長く使えお財布にも優しい材料と私は思って使っています。
その他の写真を見てみましょう
2階から見た様子です。
ここは、お子様たちが小学生くらいになったら子供たち全員で過ごす場所となります。
どんな感じになるのか今から楽しみです。
違う角度から見た子供たちの居場所になるであろう場所です。
将来的には部屋になるように電灯やコンセントの配置はしてありますが、まあこのままずっと使ってもらえれば嬉しいですね。
キッチンから階段を見た様子です。
階段下は可動棚として利用します。ここにお子様のものを置く予定です。
キッチンは既製品を入れました。
キッチン前のちょっとした工夫見えますでしょうか。 配膳をしやすくしています。
洗面は既製品の洗面台の下の部分のみ使用して、あとは大工さんの手作りとイケヤの収納鏡を組み合わせました。
お庭を造る前の様子です。
お庭は土を盛って、縁側との段差を減らしています。
こうすることで、一体感を出しています。
梁から出ている棒は、照明をぶら下げるためのものです。井手の手作りです。ちなみにテーブルも井手の手作りです。
全体照明は、裸電球のようなものを使いました。
照明は出来る限り目立たないデザインにしています。照明器具が主張をし出すとその他の素材が消されてしまいます。
10年後、20年後どんな様子になっているか楽しみなお宅です。
基本設計:お客様ご主人と井手の合作
実施設計・現場管理:島田悠平(2級建築士)