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20坪台の家

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美濃加茂市 高台に建つそとん壁の家

美濃加茂市の広さ67坪の高台に建つ延べ坪30坪弱の住宅です。

竣工は2012年

東京にお住まいだったご夫婦が定年を機に岐阜に移住されました。

 

出会いは一本のお電話から。

「美濃加茂に家を建てたいのだけど、お願いできますか?」

お電話を頂いた数週間後、東京での研修帰りに品川駅でお会いしたのが出会いでした。

調子に乗ってワインを結構飲みすぎたことを覚えています。

ご夫婦2人が居心地の良い家にするには?

絶対にやっちゃいけないことから言います。

「決めつけないこと」

これ、重要です。

引退される夫婦だから、平屋だろう、バリアフリーにしなくちゃ、おっきな寝室を作って・・・・

決めつけてしまうと、住む方の生活を縛り付けたり、せっかくの土地の利点が生かされなくなります。

 

家の設計の基本は2つ。

  • お客様の話をよく聞くこと。
  • 土地をよく見ること。

 

この2つを行って、設計者としてベストと思う提案をするだけです。

当然、年齢を重ねていくことも考慮します。

2階に上がる階段は、通常の階段より緩やかにして踊り場をきちっと取り入れています。

ついでに、階段を居場所にできるように本棚も作りました。

 

上の写真は居間の様子です。踊り場からのスタンドが感じいいですね。

上の写真で「あれっ」というところがありませんか?右奥にトイレットペーパーが見えていますね。

はい、ここはトイレです。

 

普段は開けっ放しで、使うときだけ閉めます。

南から北へ風を通すルートとして、そして視線を通して広く感じさせるため、トイレも使っています。トイレと感じさせないようにするために便器は見えないように通常より細長いトイレにしています。

 

1階は内側へ 2階は外側へ

このお宅の土地は、南側へ下がっていく好立地の土地でした。

東側には緑豊かな小山があり、これは利用したいと思いました。

ただ、南には将来的に家が建つだろうと予想しました。

そこで、1階は内側へ開いた空間にして、将来的に視界の妨げがないだろう2階は外に開いた空間にしようと思いました。

 

1階の様子の写真です。

 

居間につながるデッキに少し高めの目かくしをつけ、そこにベンチを設けています。

部屋内へ視線を持ってくる手法です。

将来的に南に家が建ったとしても、気にならないようにしています。

 

そして

 

1階和室から東を見た様子です。

この方向は将来的に家が建たないと予想しましたので、東に大きな窓をつけました。

お庭に雑木を植えることで東側の小山までの視線をシームレス化して、まるで自分ちの敷地内にある小山のように感じるようにしています。

 

逆に2階は

デッキを作り掃き出し窓を配置しました。

この風景はお隣さんが建ったとしても残ると予想して、外に開く開放的な空間を作りました。

 

2階は気兼ねなく 一人一人の部屋として

2階はご主人の部屋、奥様の部屋、収納と手洗いを配置しました。

写真は奥様の部屋です。

趣味の手芸を出来るように、カウンターをつくりました。

そして、お気に入りの小さな机もおいてあります。

 

写真は完成当時のご主人のお部屋。

今は、マッサージチェアが置いてあります。

 

1階はお二人でほんわかと過ごし、2階は一人一人が気兼ねなく過ごせる場所としています。つまり、2階の部屋は寝室ではなくて第二の居間なのです。

 

温度のバリアフリーを目指して

 

このお宅の建具はほとんど引き戸です。そしていつも開け放たれています。

温度差があってはこの空間は成り立ちません。

そこで、この家には「そよ風」というソーラーシステムを入れました。

写真の赤丸がその装置です。

屋根に太陽が当たると冬でも50℃とか結構な温度になります。その暖められた空気をダクトで床下に送って部屋全体をほんわかと温める装置です。

写真の白い菅が温風を床下に送り込むダクトです。

このシステムは、小さなモーターを回すだけですので月数百円の電気代で動いています。

詳しい仕組みが知りたい方は、今タマゴグミが積極的に使っているびおソーラーと同じような仕組みですので、こちらを見てください。 ソーラーシステムについて

 

このシステムのおかげで、安く空気のバリアフリーを作り気兼ねせずどの部屋にも行き来できます。ただし、寒さがキツイときはエアコンは必要ですが。

外壁仕上げはそとん壁を採用

 

 

外壁はそとん壁を採用しました。

そとん壁はほぼバリアフリーの材料で将来的なメンテナンスが要りません。また、味があっていいのです。ただし・・・価格が高いのが難点です。

そとん壁については こちらに書いています。 そとん壁について

 

南のお庭がチョット狭い理由

写真は南のお庭です。

この土地は67坪の土地ですので 実はもっと広くお庭がとれるのです。

なぜ、この大きさかというと、北側にスペースをとっているからです。

北の敷地境界線から外壁まで3m離しています。

この地域のルールは敷地境界線から1メートル離しなさいと言うことにもかかわらず、この距離をとった理由は 次の写真にあります。

 

 

おお。。。凄い草。すみません、草刈りをした後の写真がなかったので・・・

今回の敷地のすぐ北にすでに家が建っていました。

そのお宅へ出来る限りの配慮をするためです。

 

1mだけ空けてベッタリと家をつくっても誰も文句は言えません。けど、お隣に住んでいる身になるとそんな悲しいことはないですよね。

このような配慮がお隣との良好な関係を作り、居心地をよくすると私は信じています。

また、街並みもよくなります。

家をつくるときは、街並みに気を付けることは当然だと思います。

街並みをよくすることで、その周りの地価価値を上げ、住みやすい街をつくることで最終的にはお客様の利益につながります。

 

最近よく見ますよね、北の敷地切り地理まで寄せた片流れで太陽光を積んだ家を。

あれを見るとゾッとします。あれはお客様が悪いのではなくそれを平気で提案する建築屋がどうかと思います。

法規的には問題ないからというのはプロとしてどうかということですね。

 

さてさて、この凄い草はどうしたかというと

 

はい、私が刈りました。

タマゴグミは1級建築士だろうとこんな作業も出来なくてはダメなのです。(??)

 

遠い将来は1階で事足りるように

このお宅は2階にご夫婦の部屋を持って言っています。

だた、遠い将来は2階に上がるのがおっくうになるかもしれません。凄く遠い将来だと思いますが、

 

そこで1階に和室を作っています。

 

この和室は今のところお子様がいらっしゃったときの部屋となっていますが。

 

その他の写真です。

 

食卓を見たところです。

私がお邪魔するといつもこの長椅子に腰掛けてお茶やお菓子を頂いています。

壁にかかっている絵が素敵なんです。この絵は横浜みなとみらいの絵です。

建前の時の棟梁と毎度毎度ラフな格好をしている私の後ろ姿。

 

こんな格好しているので現場に来る業者さんに「社長さんは?」とよく尋ねられます。

 

以上です。

追伸

Kさんんご夫婦は、私の理想の夫婦です。伺っていろいろお話を伺うのが楽しみなんです。