安全な家の設計に大切なこと。【セミナー案内付き】
2025年02月20日
強い家を造るためにはひたすら計算
住宅業界は大混乱
先日、建築確認申請や長期優良住宅の審査をしている会社から一本のメールが入りました。
「建築確認申請の受付を2月21日で一度受付を終了します。」
はあ?なんのこっちゃ、職場放棄か??
今から提出物件があるのに、焦って審査機関に連絡したところ、
「4月から建築法規が大きく変わるので、混乱を避けるためです。」とのこと。
令和7年4月からの建築基準法の改正
1.省エネ基準の義務化
断熱を強化して、高効率の設備を使ったり太陽光発電のようなエネルギーを作る装置を付けてエネルギー消費を抑えることを義務化しますよ。という法律。とはいってもさほど厳しくない。
2.4号建築の範囲を縮小と壁量計算方法他の変更
今までは建築士が設計した家は構造計算書を出さなくてもいいですよ。(そんなに偉いか建築士!)
という範囲が木造2階建てのほとんどでしたが、それじゃダメでしょ、ということで大幅縮小されて、2階建ては構造計算の義務化となりました。
ただし、構造計算書を審査機関がどのように確認するかはいまだはっきりと告知されていません。
また、壁量計算(地震や風に対抗する壁の量を出す計算)をもっと実態に沿ったようにしましょうという計算式に変更します。という内容。
大きくはこの2つの改正です。
審査機関としては3月まで適用される現行法で申請を通そうと駆け込み申請が増えてきて、年度内に確認申請を許可できない恐れがあることを予想してとめたようです。
それでも食い下がらない私が
「じゃあ、新しい法律で建築確認申請書をつくりますから、見てもらえませんか?」と尋ねたところ
「いや~今はまだ今年度だから、来年度の基準で審査するとはできないんだよね。」と。
ごもっともな回答です。
これで安心できる家になる?
少しはましになるかもしれません。ただ、法改正されるといっても問題点はいっぱいです。
地震や風に耐える壁(耐力壁)を増やす方向に動いているということは梁上耐力壁が増えて、梁を一本一本計算する(許容応力度計算)が必須となってきていますがそれをやっている物件はまだまだ少ないのが現実です。

梁上耐力壁の例です。筋交いの下に柱がないので、計算をして梁が安全か確かめることが必須の収まりっです。
地震や風に強い家を造るにはどうしたらいいでしょう?
柱をいっぱい入れて、柱を太くして、壁をたくさん作って・・・どれも正解なのですが、大切なことは力をきちっと流すことなのです。
家や家具の重さ=荷重は重力が関係しており、上から下へと伝わる力です。
外力は、地震(振動)や風の力。荷重に加速度を付けるものです。
荷重だけなら、柱と梁さえあればOKです。
外力に対抗するために、壁があり床があります。
外力のイメージはこんな感じです。
構造グリッドという言葉を覚えてください
柱は上部の力を下に流し、最後には大地に力を流すのが主な役割です。
それも素直に流すのが大切。
柱の太さは、その柱が受け持つ力で変わります。
設計は一本の線を書くたびに、荷重はどう流れて外力がどう作用するかを考えながらやらなくてはいけないのです。これは、設計の最低限の能力です。
とはいえ、いちいち考えていたら大変なので、構造グリッドという考え方を採用します。
構造グリッドの理解こそが構造に強い家を造る肝となります。構造のすべてといってもいいかもしれません。
構造グリッドの理想は尺間の家では3640X3640です。
構造グリッドを覚えると設計はすごく簡単で分かりやすくなりますよ。
◆構造グリッドを決める
上の図のように構造グリッドを決めます。そして構造グリッドの4隅には柱を設けます。そして結んだ線の上だけに耐力壁を作ります。
それ以外には耐力壁は増やしません。もし増やす場合はグリッド線が増えることになります。
そして、そのグリッド上基礎には梁が必ず入ります。
◆1階と2階の構造グリッドをそろえる
実際の話をすると、1階と2階の構造グリッドを合わせる必要はありません。
私の場合、1階と2階をそろえることが多いです。
このように、上下を合わせることで、上下の柱がずれることがなくなり梁上耐力壁が極端に減ります。
構造グリッドをみてみよう
上記のグリッドから間取りを簡単に作ってみました。(毎度、手書きの汚い図面ですみません)
この構造グリッドよく見ると、8畳間や6畳間、お風呂やキッチン、階段やトイレのサイズにピタリとはまるのです。
住宅設計って案外簡単と思いませんか?
設計のセンスはこれ以降から決まる
設計の良しあしや、建物の美しさはこれ以降の設計で決まってきます。
窓の開け方や位置そして大きさ、天井や建物高さ、部材の選択やサイズ、照明計画・・・これらの設計で大きく家が変わります。
建築士はなぜかこの感覚を持っている人が多い その理由は
今まで、なんか私イテしかやっていないような設計手法として紹介してきましたが、国家資格を持った建築士はこの考え方で設計している方が凄く多いです。
それはなぜか? 実は建築士試験に理由があると私は考えています。
建築士 特に一級建築士の資格は難関です。
けど、資格学校に通ったり 毎日2~3時間の勉強を1年間続ければなんとか取れる資格です。
試験には学科と製図があり、製図の試験を受かるために「グリッド」という感覚を徹底して教えられます。
6時間半の時間で、ゼロから5階建て程度の病院や大学を設計するというムチャクチャな試験に受かるには、グリッドを決めてそれに要件を当てはめるしか方法がないのです。
設計要件を読み解き6mx6mか?7mx8mか?と決めるのですが、読み間違ったらもう・・大変なことになります。
前年度の1級建築士試験の模範解答を下に貼ります。
【間取りセミナーの案内】 あなたも設計をやってみませんか?
上記の設計を構造グリッド設計法と名付けました。
構造塾の佐藤先生には「こんな名前つけたよ。」と報告したら「いいじゃん」と認めてもらっています。
小学生に設計を教えたときの教材を使いながら、構造グリッドを使った安全な家の設計手法を半日で学びます。
この講座を学ぶと
- 家の設計の仕方がなんとなくわかるようになります。
- 安全な家を造る方法がわかるようになります。
- 安全=経済設計(価格が抑えられる)ということがわかる。
- 設計してもらった間取りが安全かがわかるようになります。
理想は2組から多くても4組程度の参加者での開催です。
私のすべてをお伝えしますので、ぜひ、学びに来てください。
日 時:3月2日(日曜日) 13:30~16:00
場 所:タマゴグミ事務所 瑞穂市野白新田52-4
必要なもの:鉛筆と消しゴム
申し込み方法:下記フォームよりお申し込みください
お問い合わせ:電話058-372-2575(365日朝9時から夜9時まで)にお電話いただき、「間取りセミナーについて」とお伝えください。
※現在お考えの土地があったら資料をお持ちください。具体的にお伝えできると思います。