究極のコンパクトハウスを考えてみました
2023年10月25日
究極のコンパクトハウスを設計してみました。
「おいおい、そんな設計やっているのならうちの設計やれよ。」と数組のお客様から言われそうですが、たまにそんな気分になるのです。
設計時間、5分。作図時間5分。 時間も究極に短いものです。
想定は4人家族。30歳代のご夫婦と3歳の男の子、保育園に通う女の子の家です。
それでは、どうぞ。
いかがでしょうか?
昼間の様子は
1メートル30センチ×80センチのちゃぶ台を中心に生活が織りなされます。
みんなが一つのちゃぶ台を囲み、各々好きなことをやっている。
そして夜は
ちゃぶ台をキッチンに放り出し、3枚の布団を敷けば寝室に早変わり。
結構湿度が高くなると思われますので、冬場樹脂サッシを使ったとしてもガラス周りは結露すると予想します。
この家に暮らす想像をしてみてください
いくら何でも注文住宅としては狭い、と思われた方が多いのではないかと思います。
アパートならこれもありかと思われるかもしれません。
けど、まずはこの家に家族で住むというイメージをしてみてください。
1人に許される物の量は押し入れ4分の1です。そこまで絞るとしたら何を捨てて何を持っていきますか?
団らんしている風景を想像してみてください。
ご自分の好きなことは出来そうですか? 子供たちはどんな過ごし方をすると思いますか?
色々な不便や問題
多分想像してみたら、いろいろな不便や問題が出てきたはずです。
捨てようと想像しても、どうしても残したいものがあった
この時間だけは誰にも邪魔されたくない
子供が中学生から高校まで位は居場所をつくってやりたい
問題が出てきたらもう一回図面を見て何とかならないか考えてみてください。
例えばこんなふうに
空間の共有
実は今まで書いたことは、私たち設計者があなたの家を設計するときに毎回考えていることなのです。
家を大きくすることは難しくありません。
しかし大きくすると価格が上がります。2023年現在、畳2枚分面積を大きくすると70万円位、場合によってはもっと上がってしまうこともあります。
貴重な空間をどうしたら有効活用できるか、それでもって居心地よく過ごせるかを必死で考えます。その一つの方法が「共有」です。
まずは用途の共有です。
上記の図面では、キッチンがある部屋は 玄関・廊下・脱衣・キッチン・洗面手洗い・ランドリー・化粧・物置という用途が共有されています。
下の六畳間は、居間・客間・大人の居場所・勉強部屋・作業部屋・子供部屋・寝室・クローゼットという用途が共有されています。
居間と客間?居場所? おんなじ意味だろ。共有は居間と寝室だけでいいだろ?
と思われたかもしれませんね。
なぜこれだけ細分化したかというと、細かく一つ一つの用途を想像した方が部屋の質が変わるからです。客間として使われるときはどんなことが必要なのだろうか? 勉強部屋の時は? それら一つ一つの要素が、窓の位置や壁の仕上、照明等細かなことに影響してきます。
次に時間軸での共有です。
例えばお子さんが小さなころには4畳間を大人の居場所として使い、お子さんが中学になったら子供部屋として活用、お子さんが巣立ったら、奥様の部屋になったり同居する親様の部屋にしたりという時間経過での共有です。
それでも空間が足りない・そんなときの対処は
別に部屋をつくろうとすると一気に4畳半分の面積が増えたりします。
コストを抑えながら家の面積を増やすコツは「ちょっとづつ」です。
このように、91㎝だけ外に伸ばし2帖分だけ面積を増やすことで、小さな部屋と物入が確保できます。
ただし、やたらめったら伸ばせばいいという訳ではありません。構造的に無理がなく無駄な材料が増えない場所を狙って大きくしています。
そしてこの段階でもう一度この家に住むイメージをしてみます。
コンパクトで居心地の良い設計手法
今回の内容は実はコンパクトな家を造るための設計手法です。
まずは究極に絞り込んだ設計をしてみる。そして、空間の共有を考えてみる。それでもダメならチョットだけ増やしてみる。
価格高騰時代の設計手法です。
建築相談会 開催しています。よろしければどうぞ。
ご希望の方には、タマゴグミが建てたコンパクトハウス内での設計相談も行っています。
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