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家の雨漏り(水漏れ)の原因は

じめじめ嫌な時期に突入していますね。そんな日々に沿った話題を。

タマゴグミの家づくりの理念の一つ、丈夫で長持ち

その中で当たり前のことですが、雨漏れさせない、水漏れさせないがあります。

 

今までタマゴグミで新築を100棟以上建てさせて頂きました。

その中で、雨漏れ事故はゼロであありません。

3回あります。

 

1回目は、梁と梁のつなぎ目からの雨漏れ事故

2回目は、配管部分のシール不足による雨水の伝わりによる事故。

3回目は、暴風雨の時にキッチンフードからの吹込みです。

タマゴグミのミスを図解で公開

恥をさらすようですが、事実は隠せません。

なぜそのような事故が起きたか具体的に見て頂きましょう。

 

1,私の設計ミス。二重梁からの漏水

染み込みでの雨もりの紹介です。

建てさせて頂いて三年ほど経ったある強い雨が降った日に連絡がありました。

「壁の間から水が漏れています」

 

慌ててお伺いして状況を確認。外部の片持ちの屋根を受けている二重梁の重なったところに、水滴がしみ込んで起こった漏水でした。

たまたま横殴りの雨になり、梁に雨が当たってその水が室内に侵入しました。

図の水色の部分が漏水ルートです。

 

設計段階でよく考えれば防げた雨もりでした。

対処方法として板金屋さんに2つの梁を囲うように板金をしました。

 

コーキングミスでの漏水

台風で強い雨の日に、壁につけたパイプから水がたれているという連絡がありました。

伺ったら、室内の壁にツ~~~っと水だれがついていました。

 

外に回ってみたところ、ベントキャップのコーキング忘れでした。

 

 

図で表すとこんな感じです。

 

ベントキャップ(半丸の金具)の上の部分から壁を伝わった水が入り込み、菅とキャップの間から水が菅の中に侵入、その水が内部にたれている状態でした。

 

因みに貫通部のパイプは貫通部分と防水シートの間を防水テープで処理していますので、壁内に水が入ることはほぼありません。

 

これは施工確認ミスです。

ベントキャップのコーキングを忘れていなければ、お引渡し前の確認のミスをしていなければ防げた事故です。

 

横殴りの雨で漏水した例

風がすごく強く、雨が横向きに降っている夜に、お引渡ししてから5年以上経つお宅から連絡が入りました。

「キッチンの換気フードから水がポタポタ落ちています。」

雨具と止水する道具をもって伺いました。

 

換気フードを覗くと、排気パイプからポタポタと水がたれていました。

もしかしたらコーキングが切れいているかと思い外に回っても大丈夫の様子。

中をよく見ると、凄い風で雨粒がフードから入り込んでいました。

そして、このお宅は、壁付キッチンのため、フードと外部の距離が短く雨がダイレクトに入ってきたようです。

図に表すとこんな感じです。

ベントキャップ(半丸のかなもの)には、雨の吹込みを想定して、水が入らないように立上りがあるのですが、それも超えて入ってきていました。

 

当日は、ベントキャップをテープでふさいで雨の侵入をとめて、次の日にベントキャップを外して、パイプ内部にコーキングで立ち上がりをつけて水が浸入しないように対処しました。

これは・・・・防ぎようがありませんでした。

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参考に 窓回りの漏水リスク

漏水のリスクがある場所に開口部があります。タマゴグミでは今のところこの漏水事故はありません。

 

壁に雨が当たり、伝わった水がサッシのつばに受け止められ、壁内に入る水漏れです。

通常、サッシの取り付け部分と、壁の中の防水紙の間を防水テープでふさいでいますので水が入ることはありません。

ただ、施工ミスや、テープのよじれ、隙間がある場合は雨がどんどん入ってきます、

 

参考 バルコニーや陸屋根のパラペット部分

タマゴグミでは、この収まりの家は3件ほどしかありませんので漏水は今のところありません。

 

実はよくある収まりなのです。

 

2階バルコニーの下が部屋になっている家。その場合、バルコニーのおさまりはこれに近い方法を使っています。

通常そんな時に使っている防水はFRP防水。

非常に強く軽い防水方法で、施工と管理さえ間違えなければよい防水です。

管理方法ですが、

  • 10年以内にトップコート(防水の保護塗料)を塗りなおすこと。
  • 地震等あった直後、また年に1回は表面のひび割れを確認すること。

この二つは必須です。

 

この手の防水は、紫外線に弱くトップコートがダメになったら防水層までダメになるケースがあります。

 

またFRP防水は振動に弱いです。硬いのですがその分振動でひび割れがおこる場合があります。

木造は、層間変形角が120分の1まで許されている建物です、。

層間変形角120分の1とは、地震が来たら、1階と2階が最大2cmちょっとくらいずれてもOKという変形量のことです。

 

とはいっても、防水層は2cmもずれることはありませんので、その点は安心していただきたいのですが、数ミリはずれると予想します。そのずれで防水が割れたら・・・

 

ついでにドレン回り(水が落ちるように開ける穴)が非常に弱いのです。この手の防水の雨漏れのほとんどがドレン回りです。そんな部分いヒビが入ったら・・・

その下の部屋に水が浸入するのです。

 

ゾッとしますよね。

 

もう一つ、木造なのに陸屋根(コンクリートのビルのように平たい屋根)にして防水層を屋根代わりにしている家もほんの一部だけ見かけます。

その様な家を見ると私は「ぞわぞわ」っと寒気を感じます。

 

陸屋根の場合、面積が大きくなるのでFRP防水は無理です。理由は家の変形にFRP防水が対応しきれないからです。そこでウレタン防水かシート防水を使うのですが・・・・・・対応年数10年前後です。ゾワゾワっとしませんか?

 

毎年誰かが屋根に上ってチェックしなくちゃいけないし、大変だなと思います。だからタマゴグミウレタンやシート防水での屋根は100%行いません。

 

ただいま実験中

と言いながら、FRP防水の耐久は実験中なのです。

写真の家は私の家で、タマゴグミ第一号の家です。

矢印のところ、陸屋根でFRP防水を施してあります。

理由は、タマゴグミを始めたとき、きっとこのような収まりの家を造ることもあるだろうと思い一か所作っておきました。

 

因みにこの下は倉庫で、天井もなにも貼ってありません。だから雨漏れがしたらすぐわかるのです。

うちの家の防水に問題が起きたら、他の家でも発生する可能性が高くなると考え、年に一度観察しています。

 

雨漏れのリスクを減らすには

タマゴグミからの提案は1つ

軒をきちっと出した単純な形の屋根をかけましょう。

 

格好いいから軒なしで、なんていうのは建築屋のモデルハウスだけで十分。あれらを見て「かっこいいね!」とめでておいて、自分ちはきちっと軒を出しましょう。

 

上記のタマゴグミの失敗で見て頂いたように、殆どが壁を伝わる水の侵入です。

その侵入を抑えるには「壁に水を当てない。」ことが一番の予防策です。

 

最後にこんな実験結果をのせます。

国土交通省 国土技術政策総合研究所
産学官連携による共同研究 「木造住宅の耐久性向上に関わる建物外皮の構造・仕様とその評価に関する研究」
(2011年度~2015年度,委員長 東海大学名誉教授 石川廣三)の成果の一部によるものです

 

軒の出が90㎝・90㎝と15㎝・15㎝ の3種類の水がかりの差です。

軒の出が違うだけでこんなに壁への水がかりが違うのです。

雨が壁に伝われば伝わるほど漏水リスクが増えるのです。

 

タマゴグミは今後も、軒なしの家・陸屋根の家・ルーフバルコニーの家は一切造りません。

だって、家は店舗じゃなくて人が住む家ですので。