羽アリが飛ぶ時期はゴールデンウィーク前後です【シロアリ対策】
2023年04月23日
ゴールデンウィークが近づいてきました。羽蟻が飛ぶ季節です。
シロアリの羽アリは4月の中頃から7月初めころまで飛びます。特に多いのがゴールデンウィーク近くです。
もし、羽アリを見つけたらまずはサンプルをとってっください。そしてそれをプロに見せてください。
あなたでも見分けられる特徴は、3つです。
まずは飛び去ったところを見てください。羽がたくさん落ちていたらシロアリの疑いありです。
次にサンプルを捕まえてください。
4枚の羽がついているのですが、前後の羽の長さが同じならシロアリです。
そして胴体。胴体が 頭 胸 おなかとしっかり分かれていたらそれはシロアリではありません。頭 胴体 2つに見えたらそれはシロアリの疑いがあります。
シロアリについて知ろう
日本に生息するシロアリは約20種あります。主なシロアリの種類として、ヤマトシロアリ・イエシロアリ・アメリカカンザイシロアリがあります。
彼らは人間にとっては害虫ですが、自然界では掃除屋さんの役割を果たしている大切な生態系の一つです。
森では倒れた木を食べて分解し、彼らがつくるトンネルは土に空気や水分を運び良い土壌づくりの役割を果たし、彼ら自身は黒アリ等の貴重な食糧となっています。
自然界では大きな役割をしているのです。
タマゴグミを始めた20年ほど前に、シロアリの勉強のためにシロアリ研究家を訪ねたことがあります。その時に言われたのは、「シロアリを嫌わないで。」ということでした。
シロアリの特徴(全般)
色々なサイトにシロアリの特徴を書かれていますが、私がシロアリの研究家から聞いた言葉や見てきたことを簡単にまとめてみます。
シロアリはそんなに賢くない
シロアリは、「おっ、これヒノキじゃないか。食べるのやめよ。」「あれっ、この木薬剤散布しているな。食うのやめよ。」とか「おいおい、コンクリートかよ。かじるのやめよ。」という思考能力は一切ありません。
彼らは、地中を横に進む、
ぶつかったとにかくかじる、
固くて手ごわいものでもやっぱりかじる、
かじれなかったら上に上がる、
あがって土から出ちゃったったら土のトンネル(蟻道)をつくる、
柔らかいものがあったらまたかじる
ただそれだけです。
ヒノキなら大丈夫は迷信です。
炭は食べないは嘘です。床下が乾いているから大丈夫も迷信です。現に炭をかじっているシロアリを見せてもらいました。
よく、ヒノキとホワイトウッドを突っ込んで、ヒノキがあまりかじられていない写真がアップされていたりしますね。それは当然なことです。
シロアリは柔らかいほうをかじる性質があるからです。ヒノキしは入っていなかったらしっかりとヒノキをかじります。
炭は食べないは嘘です。
炭をガリガリ食べているシロアリを見せてもらいました。
床下が乾いているから大丈夫も全く関係ありません。
腐った木が好きだからお風呂とかが危ない も嘘です。セルロース豊富な気を好みます。多分腐った木は柔らかいから被害が目立つのでしょう。よく古い家の床下換気口にファンをつけているお宅がありますが、あれの効果はほぼないでしょう。
基本的に昔の家の床下は気密がとれていません。あんな小さな換気扇を回したところで空気は回らないのですし。
ヤマトシロアリについて
日本全国に生息するシロアリで、シロアリ被害の90%以上がこのシロアリです。岐阜県の統計は未調査ですが多分100%近いと思います。
昔は寒い北海道にはいなかったのですが、今や北海道にも生息しています。
生息場所は、そこら辺中です。造成したばかりの土地は別として昔からの土地ならほぼ生息していると考えたほうが良いです。
現に、工事のために木杭を現場に打ったら、一ヶ月でその杭をシロアリが食べていました。
被害のスピードは比較的遅いです。食われだしてから構造に影響を及ぼすまで5年ほどかかります。
イエシロアリについて
イエシロアリは太平洋の海沿い地域に生息しています。日本のシロアリの中では凶暴なシロアリです。
岐阜は生息域ではありませんが、安心という訳ではありません。
「ソテツの木」などにイエシロアリのコロニーがくっついていることがあり、被害を受けることもあります。
また、イエシロアリは出張型の特徴を持ちます。
ヤマトシロアリの場合は行動範囲は狭いですが、イエシロアリは結構遠くまで移動して被害をもたらします。よって、イエシロアリの被害にあった場合は被害場所の消毒だけではだめで、コロニーを探し出してつぶさなくてはいけません。
被害速度も速く、食われてから1年ほどで構造の被害が出ます。
アメリカカンザイシロアリについて
生息域はまだ狭く港湾付近が多いのですが、チョット厄介なシロアリです。
ヤマトシロアリもイエシロアリも地下からやってきますが、アメリカカンザイシロアリは空中からやってきます。
屋根裏とかから侵入した例もあります、
小さなコロニーで被害もゆっくりですので見つけにくく厄介なシロアリです。
今のところ発生はほんの限られた地域のみとなっています。
シロアリ対策は
大きく2つあります。
1つは薬剤を使用した対策。もう一つは物理的な対策です、
薬剤についてですが
以前はクロルデン・クロルピリホスという長く効果がある薬剤が使われていましたが、毒性が強く発がん性もあることより、今は使用禁止になっています。
現在は比較的毒性が低いとされる合成ピレスロイド系、ネオニコチノイド系を使用しているようです。ただし効果は5年ほです。
タマゴグミはホウ酸を使っています。理由として、床下エアコン等で床下を使うからです。よって、毒性が極めて低いホウ酸を使用しています。
因みにホウ酸は毒性がないわけではありません。人には無害な塩と同じくらいの毒性があります。塩も大量に摂取すると死に至ります。
なぜそんな少量の毒性でシロアリを駆除できるかというと、シロアリには腎臓がありません。体内に取り込んだ毒をろ過する装置がないのです。だから少量の毒で駆除されてしまうのです。
物理的な方法として
あり返しをつける方法です。基礎の頂部や途中に金属の板をぐるっと外周部につけます。
注意点は切れ間なくつけることと、取り付けヵ所に隙間をつくらないことです。
もう一つは基礎の周りに大きさの揃った砂を設置する方法です。シロアリが横穴を掘っても崩れてしまう仕掛けです。プロに聞いたところこれはうまく設置すれば結構効果がある方法らしいですが、設置にノウハウがあるようですので、素人が砂を撒いてという訳にはいかないようです。
長々と書きましたが、重要なことは
★ シロアリ対策に完璧はない ★
ということです。
タマゴグミも使用しているホウ酸。揮発性もなく一度塗布すれば雨に濡れない限り効果はずっと続きます。しかしこれでも完璧ではないのです。
シロアリの研究科に聞くところ、木を食い進んでいくシロアリの中で、体内に食った木を取り込まない個体もあるようです。
シロアリの対策で私たちができること。
- 家の周りに木材等を置かない。綺麗に片づけておく。
- ソテツの木などは出来れば避ける。
- 年に数度、家の外回りを歩き、基礎に蟻道(土のトンネル)ができていないか確認をする。
- ゴールデンウィーク前後に羽アリが飛び立っていないか確認をする。
- 数年に一度床下の点検をする。
なお床板点検ですが、たまにシロアリ業者が無料で行いますと言ってくることがあります。彼らは商売です、何を言おうとしているかは察してください。
床下点検は、建ててもらった工務店に依頼するのが一番と思います。