COLUMN

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居心地の良さの設計

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家の気密の話です。

気密測定を行いました。

こんなメガホンのような機械を窓につけて行います。この機械の中にはプロペラが入っていて、部屋の中の空気を抜くのです(負圧にするといいます)それによって、家にどれだけの隙間があるか調べる装置です。

検査してくれたのは、住宅サポートの林さん。日本住環境に在籍のときからお世話になっている方で気密断熱の指導者です。

結果はC値0.5

 

この値は、外に面している壁や天井面の1メートル×1メートルの間に0.5センチ平米の穴が開いているのに相当します。1メートル角の板に鉛筆の太さ程度の穴が開いているとイメージしていただければいいかと思います。

既製品の2枚建てフルオープンサッシをつけてこの数値なら良いほうかと思いますが、c値にこだわった会社さんならもっといい数値を出すはずです。

下は結果のグラフです。私がチョットコメントしました。

このグラフで何が言いたいかというと、c値は気を付けて施工すればある程度は出せるということです。特殊な工法でも何でもないのです。

それよりも大切なことは、なぜ気密が必要か、なぜc値1を切らなくてはいけないかということです。それを明確にしなくては、数値自慢で終わってしまいます。

なぜ家に気密が必要なのか

これは各社微妙に違う見解を出しています。よって、今から書くのはタマゴグミとしての考えです。

 

理由1 断熱性能をあげるため。

やっぱり隙間風を防ぐためだな、なるほど。と思われましたか?

確かにそうなんです。外の空気がどんどん入ってくるようでは、冬はすぐ寒くなるし、夏もすぐ熱くなってしまいます。

けど、このレベルの気密は凄く低次元のレベルでの話です。

今の家で体感できるような隙間風がビュービュー入ってくる家は皆無でしょう。

 

タマゴグミの気密の狙いは 断熱材の中の空気をあまり動かさないためです。

断熱材って、発泡系とか繊維系とかセルロースファイバーとかグラスウールとかいろいろあるけれど原理は一つなのです。

空気をどれだけ小さな箱に閉じ込められるか。そして、その空気を逃がさない。

これだけです。(真空断熱材はのぞく)

 

断熱材の中の空気が短時間でどんどん入れ替わってしまったら、断熱材の効果が薄れてしまいます。それを防ぐためです。

となると、気密をとる位置にもこだわっています。気密は断熱材の外に力を入れています。コントロールできていない外からの空気の侵入を止めることが断熱材の性能を生かすことと考えて、施工しています。

ここら辺はちょっと理解しづらいので、私に会ったとき聞いてみてください。説明します。

 

理由その2 換気を計画通りに行うため

 

タマゴグミは、換気と気密の専門会社 日本住環境という会社の指導のもと、いまだに第三種換気(換気は機械、吸気は自然)を採用しています。

そこで予算を落としているわけではありません。ダクトを使った第三種換気ですので第一種換気(換気、吸気とも機械)と同じ金額がかかっています。

なぜ第三種換気にこだわるかを書くと長くなってしまいますので、別の機会に説明します。

換気の計画とは、空気が汚れるところから換気をして空気が比較的綺麗なところから吸気をする。そしてきれいな空気を家全体に行きわたらせることが需要です。

 

具体的に言うと、トイレとかキッチン周りとかシューズクロークとかチョットにおいそうなところに換気ダクトを引っ張っていって、居間とか個室とかの壁からきれいな空気を入れるといった感じです。

これが気密が悪いと、計画しないところから空気が入ってきてしまい、汚れている空気が出て行ってくれなくなります。また、ショートサーキットと言って、一定のところだけ空気がぐるぐる回ってしまう状況になります。

これを避けるためにはどうしても気密性能が必要なのです。

けど、ここで疑問がわきますよね。

窓を開けたらその機械の換気は効かないの?」

はい、効きません。

それでいいのです。窓を開ける換気に勝る換気はありません。だから窓が開けられるときは思いっきり開けてください。ただし、窓を開けるときは1か所でなくて 空気の入り口と出口を意識して2か所以上開けるようにしてください。

 

タマゴグミはこの2つの理由から気密性能を高める努力をしています。

他の建築士の方や工務店の方はそれぞれ考えがあると思います。「なぜ気密が必要なの?」という質問をしてみると面白いかもしれません。

 

今回気密測定をしたお宅はここです。