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大垣市で建てた平屋のような2階建ての家を解説しました

これだけみれば、家づくりとタマゴグミの全てがわかります。Vol 1

平屋のような2階建てを徹底解説!

写真の事例を見ても「ああ素敵ね」で終わってしまいます。ならば、事例を徹底解説してみようと思いました。これを読めば、家を建てていく順番や、設計の方法、家の耐震性や性能の勉強にもなるし、タマゴグミのつくる家も解っていただけます。

平屋を望んだご夫婦が、平屋のような2階建て選んだ理由

2018年 ご夫婦からご実家の敷地内に平屋を建ててほしいとご依頼がありました。それがスタートでした。

平屋の理由を伺うと、

  • 将来のことを考えると1階で全てことが足りる平屋のほうがいい
  • 子供が小さいので、おかあさんの目が届く1階にいつもいてほしい。

ということでした。

「平屋。いいな~ぜひやりましょうよ!」

私は決して平屋否定派ではありません。むしろ、賛成派です。その理由は・・・

Point:あなたと私の平屋の好む理由が全く違う(かもしれない)

あなたはなぜ平屋を希望されますか?今回のお客様と同じような内容ではないでしょうか?

建築士としての私は違うのです。

  • 平屋のほうが家の高さを抑えられて美しい家ができる。

建物は横幅に比べて高くなるとデザインが難しくなります。その点平屋は低く抑えられるので、ある程度の設計力があれば格好良く作れるのです。

  • 平屋は2階建てと比べて構造の縛りが減り自由な間取りと自由な開口(窓)が開けられる。

2階建てはどうしても壁を上下合わせたり階段の位置や水回りの位置を気にするのですが、平屋は全く関係ありません。また、構造上の制限もゆるくなりますので開口も自由に開けられます。

つまり私が平屋を好むのは2階建てよりも美しい家を造りやすい。ということです。

ビックリしました? そうです、私は自分都合で平屋が好きなだけです。

平屋を

下の写真は、10年ほど前に建てさせて頂いた平屋です。他社さんで決まっていた方が、どうしてもしっくりこないからタマゴグミの案を出してほしいと依頼を受け、私がその当時つくりたかった平屋を提案しました。

当然、平屋のほうがデザインはインパクトがありますのでタマゴグミが建てさせて頂くことになりました。

平屋は格好よくなるようそうがいっぱいなのです。

平屋を建てるために必要な条件

まずは土地の広さです。建物の総面積の3倍は欲しいです。じゃあそれ以下ではできないのか?というと違います。できます。

しかし、家を建てたらあと車を置いて一杯という敷地であれば、私は2階建てにして広さを満たし、小さくてもお庭を作ることを強くお勧めします。その方がいいという自信があるからです。

今回ご用意いただいた土地は100坪近くありましたのでこの条件はクリアしていました。

 

Point 家は、建物とお庭やカーポート(エクステリア)がそろってはじめて成り立ちます。

 

次に予算です。

二階建てと平屋を比較すると、同じ機能(主に部屋の大きさ)の場合、約3割程度高くなります。2000万円なら2600万円、2500万円なら3250万円。そんな感じです。

ご夫婦のご予算は、平屋を建てるのに十分なご計画でした。

しかし色々お話を伺うと、仕上げのグレードを上げて空間の質や外観の質をもっと上げたいというご要望が強いのに気づきました。

私も、空間を大きくするぐらいなら質や性能を高めて、快適性を高めたほうが良いといつも思っていますので、平屋にこだわらず質のいい2階建ての提案をしました。

 

計画はこのように練られました

お客様にヒアリングをさせて頂き、ご要望を伺いました。細かな点は省くとしてタマゴグミへの期待は

  1. 将来1階で生活が完結すること
  2. 子供が目の届くところで遊んでほしいこと
  3. 2人の子供には年頃になったら部屋をひとつづつ渡したいこと
  4. 車からぬれずに玄関にアプローチしたいこと
  5. 質が高い外観と空間が欲しいこと
  6. 予算は〇〇〇万円(これは弊社とともに検討しました)

という内容でした。

Point

ヒアリングでは具体的に何畳の部屋とかは伺いません。それよりも、今の暮らし方、5年後10年後どうなっているか、30年後どうなっているかを予想してもらい その時の漠然としたご希望などを伺います。 具体的な間取りや寸法を作ってくのは設計側の仕事であり、お客様は、我々が作成した具体案を見て判断すればよいのです。

 

~平屋を希望されていたからすんなり出来たデザイン~

間取りは1階部分に居間、畳の間、和室、主寝室、水回りをもってきて2階には個室を2つつくりました。

建物の質を上げるために(高級というわけではありません。質感が良いという意味です)外観に用いるのは、塗り壁のそとん壁と、経年変化で味になる杉板としました。そして、軒をできる限り張り出し、安定感のあるデザインとしました。

そして今回の目玉デザイン、全体の高さを抑えるために2階の天井高さを思いっきり低くしました。どれだけかというと、タマゴグミの通常より1m、メーカさんの基準からだと1.5m程度です。

一番低い部分の天井高さは1m40㎝、小学校高学年になったら頭が届く程度の高さです。

この高さは、お客様にはすんなりとご了承いただけました。

 

今回の建物は2階建てでも「平屋に2階部分がついた2階建」というものです。

例を出すと宇治金時 と 抹茶かき氷のアンコ付け といった感じでしょうか。

~低い二階がもたらす欠点と効果~

欠点は誰でもがわかると思います。

頭を打つ、狭苦しく感じることがある。物理的にものが入らない。7年後位に息子に「とーちゃん、なんで俺の部屋は天井が低いんだ!」と80%の確率でいわれる。ことでしょう。

 

効果はいろいろあります。

まず、価格が平屋より抑えられるし、同じ規模の2階建てよりも壁面が減るのでその分価格が抑えらえる。

気積(体積)が減るので、温熱環境が良い。あとからシミュレーションをお見せします。

そして、空間の質が上がる。 これについては、写真を見てもらいます。

 

写真は吹き抜けになっている居間です。

吹き抜けって、天井が高ければよいというものではありません。すごく広い部屋ならいいのですが、15畳程度の部屋で吹き抜けが高いと、なんか一体感を感じられずに吹き抜けが「2階の床のない部屋」みたいに感じてしまいます。

写真のように天井高さを抑えた吹き抜けだと、部屋との一体感を感じ居心地の良い空間んとなります。

上の写真は、私がお子さんを追いかけまわしているところです。

この空間の感想は2つに分かれると思います。

1つは、私のようにこの低さがなんか落ち着くなという感想。もう一つは狭苦しいなという感想。

これは体感してもらわなくては解りません。

※平屋のような二階をお考えの方は、この家にお連れすることもできます。その時はご相談ください。ご希望の方は info@tamagogumi.comまで

さて、2階の部屋は

こんな感じです。

窓際の高さは1m40㎝。成人は頭を打ちます。

このような部屋を、私たちは簡単に・・・作っていません。すごく考えます。すごく悩みます。本当にこのサイズの部屋をご提供していいのだろうか、一生かかかってローンを支払っていくお客様が後悔しないだろうか? すごく悩みます。

そんな時は、「自分ちに欲しいかどうか。」という問いかけをします。

 

結論として、大人になったら窓際に低いベッドと使い込んだ椅子なんか置いて、スタンドライトを買って天井なんかを照らしたら居心地いいよな~と感じてたので、ご提案しました。

 

~チョット説明を~

タマゴグミというか私の考えですが、いい家は大人にとって居心地が良い家と考えています。この部屋も「子供部屋」という名前は付けていません。大人が使う部屋を一時期子供に貸すという感覚でご提案しています。 これについてはいつか詳しく書きます。

 

こんな感じで、平屋のような家は計画されました。

さて、ついでにちょっと性能を書きましょう。

 

平屋のような2階建ての性能は

ここからは表とかちょっとつまらないものがいっぱいですが、もしよろしければお付き合いください。

この文書を書いているのが2021年8月ですが、最近は皆さん性能を気にされているので、ちょっと載せておきます。

この建物の完成は2019年ですので、2年ほど前のタマゴグミ仕様の家の性能です。

UA値 0.48 G1レベルの建物です。とか今はやっていますが、そんなもんど~だっていいんです。

いくらG1やG2レベルを作ろうが、まともな温熱設計をしていなかったら居心地がよくなるわけではありません。

住む方が一番気になるのは、年中ず~~~っと快適な温度に家を保って、しかも省エネで電気代をあまりかけたくない。

そのためにどんな計算をしてどんな結果を出したかというと

 

 

まずは、計画建物を入力します。その時予定している窓も入力します。

そして、敷地周りに建っているお隣さんの家、もし建っていないとしたら将来建つであろう建物を想像して入力、そして庭に植える樹木を入力して日当たりにどんな影響を及ぼすかを計算します。

日当たりは、冬の状態はもちろんのこと夏の状態も確認します。

いま、断熱性能だけが独り歩きしているような気がします。多分今後、夏に暑くでどうしようもない家が増えてくると予想します。

断熱性能が上がるほど夏の日射遮蔽はムチャクチャ重要です。

 

チョット余分なことを話しました。そして次に

窓からどのように光(つまり熱)がどの程度入ってくるかのシミュレーションをします。

この段階で、窓を動かしたり大きくしたり、はたまた削ったり、庇を設けたりしながら、冬にはよりたくさんの日光を、夏はできる限り日光を入れないように計画をします。

Point

窓は光を入れるだけのものではありません。景色を見る、風を入れる、外と中のつながりを考える等重要な働きをしています。

日射取得だけで窓を決めてしまうと、つまらない建物になってしまいます。軒もそうです、冬に不利だからと軒をとってしまうと耐久性が落ちたり雨の時の居場所がなくなってしまったりと残念なことになります。

そして、

エアコンの可動設定、つまり何月何日には設定温度何度で何時間使用するかを設定して、365日分の計算をします。

これを何度も繰り返し、部屋が年中快適な温度になるように調整します。

住む人は、これが知りたいのであり、断熱性能はこの結果を出すための一部のデーターでしかありません。

 

そして

 

そのためには、どれくらいのエネルギーが必要なのかを計算して、それを金額にしたのが上の計算結果です。

このお宅の年間エネルギーコストは156,757円と結果が出ました。(2021年時点の電気代)

そのうち暖房費用は35,125円 冷房費用は8,366円です。冷暖房費のコストはこのお宅で全体の28%程度ということがわかります。

ちなみにここ1年の電気代をお客様に伺いました。この金額とほぼ同じ結果になっています

 

ちょっと説明

エネルギーコストの半分以上が調理家電、その次にお風呂とかの給湯に使われていることがわかります。

じゃあ、お金をかけて断熱性能や気密性能をあげなくてもいいじゃないか! 太陽光発電さえ積んでおけば、省エネになりひいては地球温暖化防止にも役立つじゃないか!

そう思いますよね。ある意味正解です。

けど、こんなふうに考えて頂きたいと思います。

家の性能は居心地の良い家を造るのです。

断熱性能がよくて気密性のが良いと、家の中の温度差が減ります。それも、あまりエアコンを使わなくても実現できるのです。

不快な風、不快な温度差が無くなると、どうですか?

そのためにタマゴグミは家の性能アップを続けています。

 

平屋のような2階建ての家の性能について書いてみました。

 

平屋のような家の動画です

平屋のような2階建ての内部の様子の動画です

平屋のような2階建てのつくり方を説明した動画です