地震に強い家と構造用面材
2019年05月23日
構造用面材って何?
チョットこだわりについて書いてみます。今回は構造用面材についてです。
写真は建て方の様子です。壁に貼られている白い材料が構造用面材です。
構造用面材と言われても、何のことか解りませんよね。「筋交い」と言ったらピンときますか? 風や地震の力をうけるための大切な材料の一つです。
筋交よりも構造用面材を使う理由
近年起きている地震の関係か、筋交いからこの様な面材を主に使う工務店が多くなってきました。その理由を説明するのは長くなりますのでお時間がある方はダイケンさんがわかりやすい動画を作っていますので見てください。
ダイケンダイライト 面材説明動画 ダイケンダイライト動画
タマゴグミの場合、面材を使う理由は大きく2つです。
ひとつは、安定した耐震・耐風性能を得るため。
もうひとつは断熱材をきちっと効かせるために、外部から風の進入を防ぐため。です。
1つ目の地震の問題はダイケンさんの動画でご理解いただけると思いますが、2番目の断熱を効かせるためという理由がいまいちわかりませんよね。
その理由は、現在世の中にある断熱材の殆どのものが、ロックウール等繊維系のもの、発泡ウレタン等気泡系のもの、共に空気を小さな部屋にとどめて移動させないことで熱の伝わりを遅くしていることで効果を出しているのです。
つまり、断熱材の中にドバ~~っと風が入ったらアウトなのです。
構造用面材の種類
一言に構造用面材と言っても種類はたくさんあります。
タマゴグミが取引している建材屋さんにお願いして主なものを並べてもらいました。
左から ノボパン・ダイライト・?(解りません)・モイス・?(これも解りません)・あんしん・構造用合板です。
タマゴグミが現在使用しているのは真ん中の白い「モイス」です。
モイスの特徴 モイスHPより
構造用面材のデメリット
構造用面材のデメリットはメリットでもある「風を通さない」ことです。
家の強度に大きく影響する壁体内結露。
これを防ぐには室内からの湿気をスーッと通してしまうか壁の中に通さないか壁の中に入った湿気を水にならないように貯めておく、この三種類だと思います。
昔の家は、風を防ぐ能力が小さかったので壁の中に湿気が入っても直ぐに外に出て行きました。だから問題はありませんでした。ただ、一緒に熱も逃げていきましたので断熱は最悪でした。この方法は高性能化する今後にはふさわしくないと思い採用しませんでした。
2つ目の壁の中に湿度を通さない方法は「ベーパーバリア」という方法です。この工法で立派に家を造っていらっしゃる方々は私は尊敬しています。それほど細部に気をつけて、手間とコストをかけて、また将来お客様があけてしまう穴のことも考えて施工しなくてはいけません。私には難しいと考えました。
そして選んだ方法が、3つ目の方法です。壁の中に入った湿気を断熱材に一度溜め込み、室内の湿度が落ちたら断熱材からまた部屋内に戻すという方法です。そのために使用した断熱材が羊毛断熱材とセルロースファイバーです。
それでも不安は残ります
この工法にも不安要素は残ります。羊毛断熱材やセルロースファイバーの湿度を吸収する容量です。一度に大量な湿気が入ると容量オーバーになり結露水が発生する可能性です。
そこで、お客様には水蒸気が大量に発生する石油系やガス系ストーブは極力使用しないようにお願いしました。(気密が高い家では二酸化炭素が充満して危険ですので今でもお願いしています)
そしてもうひとつは、入った湿度を室外に出す方法を探りました。
要は面材が風を通さずにけど、水蒸気だけ通す都合のよいものであればいいのだ。と考えました。
そこで、候補に上がったのが、ダイケンの「ダイライト」と三菱商事の「モイス」でした。この2つは透湿抵抗値が低く湿度を通しやすい面材なのです。これなら、壁の中に入った湿度を室内に戻すと同時に外にも追い出せるからいいじゃないか。
さて、どっちを選ぶと考えたときやはり大きな問題は「コスト」です。ダイライトのほうが安かったのです。そこでダイライトを選択しました。
※注意点
結露計算をすると、べーパーバリアをしないと表面で結露をするという計算値も出ています。ただ、ここ10年点検点検に伺って確認したところ一軒として結露がおこった形跡は見られませんでした。それをご理解いただいた上でべーパーバリアを抜いています。
今なぜ、モイスを?
モイスを使用しだした理由は「法規」です。
準防火地域というチョット防火に厳しい地域でダイライトを選択すると、タマゴグミが使用している羊毛断熱材やセルロースファイバーを使うには外壁にサイディングを貼るか塗り壁にしなくてはいけないのです。
イヤイヤそれは困る。もっと自由に外壁を選びたい。そのためには外壁なしで認定(法的許可)のとれる材料にしたい。
そこで残ったのがモイスでした。
その後、建材屋さんにも協力を得て価格を抑えてもらうこともできましたので、現在では100%モイスを活用しています。
最後に
構造用面材はモイスが一番でその他は落ちるのか? というわけではないことだけはご理解ください。
耐力壁の能力は、モイスよりも構造用合板のほうが高いという実験結果も出ています。また、ベーパーバリアが完璧に出来るのであれあば、透湿抵抗値は関係なくなります。
材料は適材適所があり、その考えのもと使われているのです。
こういう考え方がスッキリとわかる勉強ツール あります。こちらをクリック