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日記

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石綿(いしわた・アスベスト)と解体と家づくりと

石綿 アスベストって聞いたことありますか?

~今回は面白い話ではありません。けど知っておいてほしいことだからちょっと我慢して読んでみてください。~

 

ここ2日間、名古屋の日建学院に缶詰めになり石綿含有建材調査者の研修を資格試験を受けてきました。

2023年10月より、80㎡以上の解体もしくは100万円以上の改修工事をするためには、労働基準監督署と県に有資格者が報告書を提出することが義務付けされました。

 

一軒家を解体するときは解体屋さんにすべて依頼するので解体屋さんの有資格者がやってくれるのでいいのですが、弊社独自で部分解体をしながら改装する場合は資格を持っていないとできません。来年早々に大型リフォームもあるので、受けてきました。

 

この2日間石綿オンリーの話を聞き続けて改めて感じたことがありましたので今回はこの台にしました。

 

この話は遠く感じるようで、あなたの凄く身近な問題でもあります。出来る限り解りやすく書くのでぜひ読んでください。

 

アスベストを見てみよう(国土交通省の資料より)

いまからお見せするのは国土交通省が作成した「目で見るアスベスト建材」という資料の抜粋です。

 

そうそう、アスベストと言ったらこれですね。

これらは飛散する可能性がある一番危険なアスベストです。

 

もうなくなったと思われているようですが、まだ山ほどあります。

古い駐車場なんかはいまだにむき出しというところもあります。この工法が原則禁止になったのはいまから48年前、1975年、そして完全に禁止になったのは2005年 つい最近です。

 

 

次はこれ

なんか見たことあるぞ。という風景ですね。

長尺シートです。これにも石綿が使われていました。

石綿含有建築用の商品が製造中止されたのは2006年8月です。たった17年前のことです。

 

次はこれ

 

やだ~ 通っている図書館の天井じゃない・・・

 

それならこれ

 

うちのアパートについている奴じゃない。

 

そしてこれ

 

タマゴグミじゃない~もういけないじゃん。

 

これらすべて危険物質と言われている石綿が入っている建物です。

ただ、安心して下さい。

 

石綿含有の濃度が高く飛散の可能性があり危険なのは最初に紹介した吹き付け材のみです。(レベル1の材料)

後に紹介したものは石綿の含有率もわずかで飛散の可能性がなく、使用しているだけでは石綿を吸い込む可能性がない材料ですので問題ありません。(レベル3の材料)

 

石綿(アスベスト)被害と言ったら

アスベストをご存じの方はすぐに出てくるでしょう。

それは「肺がん」私もそう思っていました。

確かにそうなんです。

アスベストの工場や、石綿の吹き付け作業をされてていた方は、アスベストを大量に吸い込み肺がんや石綿肺(肺が固くなるガン)の犠牲になられたかたが多くいらっしゃいました。私の同級生の親さんもそうでした。

 

けど、もうひとつ大変な病気が隠れていました。それが中皮腫(ちゅうひしゅ)です。

これは、低濃度のばく露(アスベストを吸い込む量。濃度×時間で出します)でも発症するのです。それも、潜伏期間が30年から50年です。

そしてこの病気にかかる人は石綿製造者や作業者だけではなく、石綿が散っている倉庫で働いている人や、石綿工場の近くの方も被害にあっているのです。

 

今回の法改正は建設業者への戒め

建設業者は「危険かも」と薄々感じながら使ってきました。そして、解体するときも全く気にせず石綿を大気にばらまいてきました。先ほど書いた鉄骨や天井にむき出して葺いた濃度の高い石綿(レベル1)の解体も1995年までは隔離もせずに行ってきました。

 

この石綿関連の法律を司っているのは国土交通省ではありません。建築基準法では、使ってはダメとは書いてありますが壊すときのことは何も書いてありません。

 

この法律は厚生労働省が建設関連の労働者を守るために、そして環境省が、建設屋よ勝手に空気を汚すなと作った法律です。

 

先ほど危険がうすうす解っていたと書きましたが、これには根拠があります。

イギリスは日本より40年ほど早く1910年より石綿をどんどん輸入して使っていました。そして、中脾腫の被害者が出ていました。 もしかしたらもっと早く手を打てたのかもしれません。

 

私たちにできること

 

下の図を見てください

2006年以前の家はこんなところにアスベストが使われていました。

使っている量は重さの1%以下(1995年前の物件5%以下)と少量なのですが、含有していることに間違いありません。

2006年に建材が、2012年にすべての製品に石綿が使われなくなりました。つまり、新しいものからの発生は止まったのです。

今後は解体時に石綿を飛散させないことを徹底しなくてはいけません。

 

幸い木造住宅は解体時に石綿の飛散が低いレベル3の商品が殆どです。解体時に隔離をしてやる必要は殆どありません。手順通りに解体すれば何ら問題ありません。

 

これが2日間 缶詰め状態で勉強した成果です。