施工事例

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20坪台の家

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岐阜市 格子戸がある狭小住宅

狭小住宅って素敵だなと思える事例です。

 

ご夫婦とお子様3人家族の24坪のお宅です。

敷地は岐阜駅から歩いて5分程度、幅が5m40㎝奥行きが15m弱の33坪の敷地です。

 

狭小住宅

 

家づくりの始まりは

家づくりのご相談を受けたのは家が完成する2年弱前です。

まず最初に資金計画を行い、住宅ローンの勉強をしていただきました。

予算を決めたところで、具体的なお話に入っていきました。

 

最初はご実家に近い親御さんがお持ちの土地に建てるか、それとも新たに土地を購入して建てるかを迷っておられました。

 

結論はお客様の仕事、私たちは情報を出すのが仕事

確か実家の土地か土地を購入するか どっちが良いですか?と尋ねられたと思います。

 

残念ながら、私たち設計者にこっちがいいとは言えません。ただし法的根拠、物理的問題がある場合は別ですが。

そこで、一緒に考えましょうということで、親さんの土地に建てる案と別の場所で建てる案のメリットデメリットを洗い出して考えてもらいました。

内容についてはプライバシーを含みますので言えませんが、メリットデメリットを整理すればなんとなく回答は見てくるものです。

※ちょくちょく出てくるイラストですが、タマゴグミで家を建てた奥様(楽さん)に書いてもらっています。

 

土地選び

ご主人の名古屋までの通勤、お子様の通学を考えると駅近くは外せませんでした。

ご希望は岐阜駅まで徒歩で行ける範囲。

しかし、当然ながら岐阜駅近くの土地は高いのです。

駅目の前の土地はないとしても、そこから10分圏内で40坪程度の真四角な成形な土地で、坪単価40万円以下総額1,500万円を切る土地なんてありません。

 

狭小土地や変形土地を狙おう

間口が狭い土地、旗竿地、日当たりが悪い土地、形が成形でない土地は比較的安価です。そこで、そのような物件を探し出しました。

しかし、間口が狭い土地や日当たり悪い土地、小さな土地なんて「どんな家が建つだろう」と不安ですよね。

 

そこで、タマゴグミが建てたお宅から、狭小地・日当たりが悪い土地・変形土地の事例の図面と写真をたくさん見ていただきました。

 

タマゴグミではこのような事例が事例がたくさんあります。

 

 

狭小住宅の設計の基本

家づくりは、外部とのつながりが非常に重要だと思います。特に狭小住宅は外の力を借りてどれだけのびやかに感じる空間を作るかが肝心です。

 

そのためには、

  • メインの窓にはカーテンをしなくてもいい仕組みを作る。
  • 見ていたい景色をつくる

ことだと思います。

 

見ていたい景色を作る方法は、

  • 外部からの視線を断つとともに見たくないものを隠す
  • 広さを感じるように、遠くを見通す
  • 中間部分を作る

この3つだと私は考えます。

木の塀をつくることで、通行人の視線を切り駐車場の車やお向かいの玄関先を消しました。

また、木塀で下部を覆い隠すことで遠くの空に目が行くようにしました。

そして、軒を出して中間点を作りました。

それでできた空間がこれです。

 

 

狭小住宅の設計は、言葉の定義を深く掘り下げること。

これも重要です。

一つ事例を挙げると「玄関」という言葉です。

 

玄関と聞くと、人それぞれ景色が浮かぶはずです。

通常は、床はタイルでちょっと段差があって、下駄箱がおいてあり、小さな部屋になっている。という風景が浮かびますよね。

 

実はその家族それぞれに玄関の定義は違います

 

以前、お医者さんの家を設計したときに 奥様から「玄関にイスとテーブルを置いてほしい。そして中が見えないようにしてほしい。」というリクエストをいただきました。

 

その方にとって玄関とは、銀行さん。外商さんをお迎えして打ち合わせをする場所が玄関の定義だったのです。

 

今回の玄関の定義は、出入りする場所、靴の脱着の場所でありお客様をたくさんお迎えしたり、宅配物を受け取る場所ではなかったのです。 

 

ということは別に仕切りも何もなくてもOKという結論になり、居間に一体となった玄関ができました。

 

あなたにとって玄関の定義は何ですか?それを考えれば設計が全く違ってきますよ。

 

吹き抜けっていいの?

居間の上に吹き抜けを作りました。

2階窓から光や熱を取り込むためです。

吹き抜けは上下の空気の移動もできるので、高性能の家にとっては全館空調に近い状態を作ることができます。

ただし、家族間のプライバシーをどのように考えるかで吹き抜けの有無や位置を吟味したほうがよいでしょう。

 

そして吹き抜け周りににカウンターテーブルを作りました。これは奥様が作業をする場所です。

 

2020年コロナ以降、リモートワークが増え、家は働く場所も兼ねるようになってきました。

狭小住宅の場合は、しっかりとした部屋が取れないので隙間を狙って場所を作ります。

ただ、ここを使うかどうかはわかりませんし、ここを使ってほしいというわけでもありません。吹き抜けに机をよく付けますが、「ここがお子様の勉強する場所です。」とか「ご家族が本を読む場所です。」なんて提案していました。

大きなお世話ですね。設計者がお客様の生活まで口を出すなんて余計なお世話と感じています。

 

吹き抜け

吹き抜けにカウンターテーブルを付けました。

 

物置になってもいいし、将来机を取っ払ってごろごろする場所にしてもいい、使い方は自由なのです。

 

 

共用する

狭小住宅の場合は、共用することをよく考えます。

今回は廊下と手洗い場所を共用しました。

この考えは若い時にお世話になった設計事務所の影響が大きいです。

所長が設計した狭小店舗付き住宅の設計を見たとき衝撃を受けました。

なんと、キッチンと脱衣所を兼ねていたのです。

一瞬しか使用しない場所に大切な面積を取られてたまるかという意気込みを感じ、それから私も共用を意識するようにしました。

空間を共用する

廊下に設置した手洗い

深い軒と南の大きな窓とお庭とアプローチ

 

この家の大きな特徴の1つです。

軒先空間。私はあえて日射取得を犠牲にしてでも作ってしまう空間です。

この空間は感じてもらわないと何ともなりません。

 

 

 

実は私の家にも最近こんな空間を作りました。

築20年の私の家に作った軒先。豊かな時間が過ごせます。

 

極めつけは格子戸

「格子戸を、潜り抜け、見渡すゆうやーけの空に~」かの有名な「私の城下町」を思いだしますね。 えっ?知らない? またまた~ あの小柳ルミ子さんの歌ですよ。

 

格子戸は、この土地に家を建てることが決まった時からつけたかったアイテムです。

この扉を閉めることで、玄関までのアプローチを含めて一気に自分たちだけの空間になります。

この空間をなくせば、車がもう一台置けたかもしれません。部屋をもう少し大きくできたかもしれません。

けど、この空間があることで、この狭小住宅が広くのびやかで優雅な空間になっているはずです。

 

この入り口を入ると小さな中庭があります。

 

居間はできる限り広く隅々まで広げる

ここがこの家の中心になる場所です。

玄関扉が見えています。

ということは、この空間の中のどこかに廊下が発生するのです。

この空間は「広く使える」という狙いではなく、「広く感じる」ことを狙いとしています。

部屋は物理的には大きくなりません。

であるなら、少しでも広く感じるように作る。それが設計の力だと思います。

こんな時間を大切にしたいですね

2階はワンルーム

 

写真は2階です。

完全にワンルームです。

将来的には、3つの部屋に仕切れるようにしています。

お子様が小さいうちは広々と使い、個室が必要になった時に必要なだけ仕切っていく。そんな考え方です。

 

ちなみに1か所仕切るのにかかる費用は約5万円程度です。

 

収納はできる限り多くする

写真はダイニングとキッチンです。

キッチンはオリジナルキッチン、そしてキッチンの奥にあるのはパントリーです。

狭小住宅の場合は意識をして収納を増やす、ということをしています。

 

性能や耐震性能は・・まあ当たり前ですよね

断熱性能や耐震等級3は当たり前なので、詳しくは書きませんが、この家ではevoltzの制振装置を導入しました。

ご提案させていただいたらお客様は「つけます」と即答いただき採用しました。

evoltz制振装置

 

夜はこんな感じです。

夜はこんな感じです。みんなの帰りを暖かく迎えます。

 

 

 

狭小住宅の施工はちょっと大変

おまけで上棟の様子をつけました。

ご相談 いつでも受け付けています

タマゴグミでは、家づくりを始めたばかりの方の相談にのっています。

遠慮なくお申し込みください。

この記事を書いたのは

株式会社タマゴグミ 一級建築士 井手 徹です。

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