人気コラム③
コンパクトハウスと狭小住宅の違いは?
コンパクトハウスは「削り取って豊かにする」(足るを知る)という設計の手法を用いてできる家。

狭小住宅は「土地条件のうちの間口(道路に面する土地の幅)」がきっかけで生まれる家。
狭小住宅はコンパクトハウスの一部とも言えますが、間口が狭い土地にできる家であり、コンパクトハウスと重ならない場合もあります。
この記事でわかること
- 「コンパクトハウス」と「狭小住宅」の違い(タマゴグミ的な定義)
- コンパクトハウスや狭小住宅を選ぶときの判断基準
- 小さい家で後悔しないために優先すべきこと
目次を見る
そもそも「狭小住宅」とは?(土地条件から始まる)
狭小住宅とは、ここに住むんだという強い意志から始まる家です。
しかし、完成が想像ができない家でもあります。
その土地を目にしたとき「こんなに幅が小さい土地に本当に居心地の良い家が建つの?」と思ってしまう(実は設計者の私もたまに思います)土地に建つ家です。
タマゴグミの実例でも、狭小住宅は少なくありません。全棟の1割以上が狭小住宅です。
そして、狭小住宅は「好んで選んだ」というより、土地探し(持っている土地)の結果としてそうなるケースが多いという点です。
街中・駅近など「利便性の良い立地を優先」しつつ、しかも「予算内」で土地を探すと、コンパクトで間口が狭い土地になりやすい。
もしくは、今持っている(住んでいる)土地が、間口が狭い土地だった。
これが狭小住宅が生まれる典型パターンです。
狭小住宅=土地条件(狭小地・間口・奥行きなど)に対応する“家づくりのジャンル”
まずはこう理解するとブレません。
では「コンパクトハウス」とは?(坪数ではなく“設計の考え方”)
「コンパクト」という言葉は、つい
「20坪台」「30坪未満」など“面積の小ささ”だけで語られがちです。
それも正解なのですが…
タマゴグミは、コンパクトハウスをこう捉えています。
コンパクトにするとは、削り取ってもなお豊かな空間にすること。
ですので要望を全部詰めると50坪になる家を、40坪に整えて“より豊かにする”のもコンパクトハウスの一部と考えられます。
コンパクトハウス=小さい家というより「削り取ってもなお豊かさを実現する設計手法」という位置づけです。
このサイトでは便宜上面積が小さな家の事例が多く出てきますが、決してそれだけがコンパクトハウスというわけではありません。
豊かな空間になっていないとしたら、タマゴグミではコンパクトハウスとは言えません。
ここがポイント:2つは別物だけど、よく重なる
狭小住宅とコンパクトハウスは、カテゴリが違います。
・狭小住宅:土地条件(間口)が起点
・コンパクト:設計思想(削って豊かにする)起点
ただ、現実には重なります。
タマゴグミの文章でも「狭小・コンパクトハウスになると収納が確保しにくい」など、両者を並列表現で扱っています。
つまり、狭小住宅を豊かにするためにコンパクトハウスの設計手法を利用しているということです。
ここが実務上の答えです。
狭小住宅とコンパクトハウスは、似ているようで起点が違います。
狭小住宅は土地条件から始まり、コンパクトハウスは設計の考え方から始まります。
土地条件(間口・奥行き)が起点
「この場所に住みたい」「この土地を使いたい」から始まる家
- 間口が狭い土地に対応する家づくり
- 土地探しや持っている土地の結果として生まれやすい
- 家づくりのジャンルとして考えると分かりやすい
設計思想(削って豊かにする)が起点
面積の大小だけでなく、豊かさをどう残すかで考える家
- 「小さい家」そのものを指すとは限らない
- 要望を整理し、削ってもなお豊かな空間をつくる考え方
- 設計手法として考えるとブレにくい
狭小住宅をより豊かにするために、コンパクトハウスの設計手法を使うことが多いです。
狭小住宅を選択肢に入れる基準
家づくりにこの条件を持っているのであれば狭小住宅を選択肢の一つとして考えられます。
大前提
狭小住宅は好んで建てる家ではありません。土地条件がつくる家です。
家が細長くなることで同じ面積の一般的な住宅よりコストアップしますし、エネルギー効率も少々落ちます。
十分な土地、十分な予算がある場合はこの手法はとりません。
土地がすでに決まっている
間口が狭い(通常面積も小さい)

この場合は、狭小住宅の領域に入る可能性が高いです。
- 持っている土地の間口がたまたま5m程度だった。
- 親さんが持っている土地の測量図(もしくは公図)を取り寄せたら間口が小さく分筆されていた
- 親さんの敷地の一部を使って建てようとすると、間口が狭くなった
その土地でそのまま進める前に、一度立ち止まって整理しておきたいことがあります。
お持ちの土地を終の棲家とする覚悟はありますか?
ない場合は手放して別の土地にすることも考えましょう。
土地の分筆の更新はできませんか?
分筆は30~50万円かかります。
それでも土地を整形にしたほうが良い場合が多いです。
敷地の隙間に家を建てることが正解ですか?
違う場所にする選択肢、土地をもっとよく見ると、いい場所があることはありませんか。
強くお勧めしませんが、建て直したり、
リノベーションして2世帯住にすることはいかがですか。
そんな選択肢が残されていることもあります。
土地はこれから でも立地や予算は譲れない。
狭小住宅を選択する理由のトップです。
【大前提】予算が限られていて、
- 通勤・通学のためにどうしても駅近を選択したい。
- 50歳過ぎ(もしくは老後の)ため、買い物や病院は便利なところが必須
- 利便性とハザードマップを考慮したい
等、条件の場合、どうしても、旗竿地、変形地、狭小地となる確率が大きくなります。
都会に育った方は狭小地なんて当たり前ですが、岐阜に育った方は「えっ?この土地はだめだな」と思ってしまい可能性を捨てることがあります。
ちょっと想像ができない。けどこの場所を諦めたくない。それが狭小住宅の判断基準です。
コンパクトハウスを選択肢に入れる基準
予算が限られているけど、空間の質を落としたくない。
実はこの問題でコンパクトハウスを選択肢に入れる方がほとんどです。
高くなりすぎた建築費、大きな家が欲しくても手に入らない。
面積を落とすか、質を落とすか、この2択に迫られたとき迷わず面積を落としてでも空間の質を選ぶ方は、コンパクトハウスにぴったりの方です。
常識に縛られず、可変を楽しめる人
タマゴグミがコンパクトハウスを作るとき、部屋という常識を取り払います。階段や土間が心地よい居場所になったり、ロフトが子供たちの居場所だったり、将来的に簡単に仕切って小さな2部屋にする提案をしたり。
タマゴグミの例で話すと、夫婦の寝室を受験生に1年限定で貸し出した家庭もあります。また、押入れを子供たちのワークスペースに改良した方もいます。
常識にとらわれず、変化を楽しめる、そして子供たちが巣立った後、夫婦の時間を大切にしたい。それも、できる限り予算を抑えて。と考えている方はコンパクトハウスを一度検討に入れてください。
限られた土地を最大限生かしたい
心地よい住まいは、家本体と外構(お庭)でできています。外構とは余白です。
この余白を確保することで、住まいは大きく変わります。
庭師を入れた凝った植栽なんてしなくてもいいのです。雑木とちょっとした目隠し壁と砂利敷だけでも。限られた土地で余白を取るためには家をコンパクトにする必要があります。「余白、なんかいいな。」とあなたが感じるとしたらコンパクトハウスを検討するべきです。
狭小住宅・コンパクトハウスで後悔しない“設計のコツ”

狭小でもコンパクトハウスでも、つまずきやすいのはだいたい同じです。
周りの建物を考慮する。
土地に立ち周りの建物を確認します。
- その建物が土地にどんな影を落とすのか
- 視線はどうか
- 音は?
これら影響をすべて洗い出して、建物を計画します。
自分の土地への影響だけでなく、自分の家が建った場合、周りの家にどんな影響を与えてしまうのかも考え、あとから入っていくものとしてできる限りの配慮を考えます。
周りの建物を予想する。
今は空き地、もしくは古い家が建っている場合は将来どんな建物どの位置に建つかを想像し、その家がどんな影響を与えるかを推測し、建物を計画します。今現在南が空き地だからと、大きな窓を安易につけると10年後「なんだこれは」という状態になりかねません。
部屋に名前を付けない
部屋に名前を付けた瞬間、その空間は既成概念で固定されてしまいます。特に子供部屋なん名前を付けてしまうと、子供は「私だけの部屋」と勘違いし、あなたは「私が使えない部屋」と思い込んでしまいます。さらには子供の人数分部屋を用意するという最悪な展開になります。
狭小住宅・コンパクトハウスは間を作りますが、用途が固定される名前は付けません。私の部屋と作っていいのはオーナーのご夫婦だけです。(場合によってはその名前も取ります)
共有を考える
通路を単独で取ると、すぐ面積が増えます。
何かと共用できないか、を前提に考えるのが狭小では特に効きます。
狭小・コンパクトだからこそ収納は“削らない”(むしろ確保する)
狭小・コンパクト住宅は物があふれかえったら急に狭くなります。だから物を押し込んでしまう場所が必要です。
お片付けが得意な人にはあらゆるところに収納を、苦手な人には、どんと押し込める2帖以上の収納部屋を、居間を1坪削っても作ります。
「広く感じる」は設計の力で作り出す
狭小住宅やコンパクトハウスは物理的には大きくなりません。
ただ、広く感じる空間にすることは可能です。代表的なものとして吹き抜けがあります。(ただし吹き抜けを考えなくつけると間が抜けた空間になってしまいます)
その他に、視線を通すプランニング、天井を連続させる開口部や間仕切りの計画、外部空間を内部に取り込む手法、いろいろな設計手法を駆使します。
メンテナンススペースは確保する。
慣習で境界より50㎝開けなくてもよい狭小地でも、人が入れるスペースは必ず確保します。外壁は必ず劣化します。
設備機器は必ず交換の必要があります。点検や交換のスペースは必須です。
またスペースを取ることで、屋根に軒がつけられます。陸屋根、軒なしは木造住宅ではお勧めできません。
まとめ
- 狭小住宅=土地条件が生む家づくりのジャンル
- コンパクトハウス=削ってもなお豊かにする設計思想(方法)
- 実務では重なることが多いので、土地条件×優先順位で選ぶのが最短です。
もしあなたが
「立地は譲れないけど、狭くて不安」
「どこを削って、どこを守ればいいか分からない」
なら、無料相談で“削る/守る”の整理から始めるのが一番早いです。
・無料相談:土地条件と家族の優先順位を整理します
・施工事例:狭小でも“豊かにする”工夫をまとめて見られます
株式会社タマゴグミ
一級建築士/コンパクトハウスの専門家 井手 徹
無料相談を活用してください。
